脳内世界を組み立てろ!!
□I am ready for death
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玄関まで迎えに行くと、傘の中に入る母さんと父さん。
その隣に雨に濡れながら俯いている少年。
これには酷いと思えた。
「ただいま堕和、慎悟は教えてくれたかしら」
家に入りきってから父さんが傘を閉じ、ぐいぐいと背中を無理矢理押しながら少年を家に入れる。
触れられた瞬間、少年の体はビクリと跳ねたが、おどおどと家に入ってきた。
雨で額に貼り付いた前髪を横に分け、俺を見つめる。
「………。まぁ、一応は聞いたけど」
「なら他は問題ないだろ、じゃあご飯の準備をしよう」
父さんが興味無さげにキッチンへと入っていった。
母さんも付いていくように入っていく。
残ったのは俺とびしょ濡れの少年だけ。
(まぁ、こうなるのは予想がついていたが、ここまで酷いとはな)
ふぅと呆れたようなため息をついた後、少年と向き合った。
「君の名前は何て言うの?」
優しく、大人びた口調で問いかける"嘘の俺"。
その口調に少し安心したのか、口をゆっくりと開けた。
「……鷹嶺、です」
「ははっ、そんな敬語なんて使わなくていいよ。これから君は俺の弟になるんだから、もっと砕けた言い方で良いよ」
優しく肩に手を置き、ゆっくりと連れていく。
自分用のタオルを頭に被せると、俺を見上げてくる鷹嶺の頭をタオルの上から撫でてやる。
「俺は堕和、よろしくね」
撫でるのを止め、がしがしと髪をタオルで拭く。
目を閉じて頭をぐらぐらと揺られている鷹嶺。
「ありがとう…、えと、兄さん」
可愛らしい上目遣いと言い方に小さな小動物を見ているような、癒し系というか、何とも言えない気持ちになった。
(まさか、未だにこんなピュアな子供が居たとはな)
「とりあえず、風邪ひかないうちに風呂に入ってきなよ。服は俺が準備しておくから」
タオルに顔を隠しながらもコクリと頷く鷹嶺。
鷹嶺の冷えてしまった手を引っ張りながら風呂場へと連れていく。
使い方を教えてから出ていこうとすると、鷹嶺に服を引っ張られた。
「どうしたの?」
「独りは、嫌だ」
泣きそうな目で見つめてくる鷹嶺に心臓を撃ち抜かれたような感覚に陥る。
「わかったから、わかったから。そんな目で見ないで…」
目を隠しながら肩を叩く俺にきょとんと首を傾げている。
鷹嶺の濡れている服を脱がせてやると、あることに気付く。
「鷹嶺…それ……」
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