脳内世界を組み立てろ!!
□Truth memories
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毎日毎日同じことの繰り返し。
いい加減飽きてきた。
"アイツ"がいなくなってから、俺はこの街のように廃れてしまった。
ならば自分で変えれば良い。
見知らぬ人とケンカをしよう。
そうすれば、スリルも味わえるわ同じことなんて無くて退屈にならないわで一石二鳥。
元々、目の色が金色で髪を金色に染め上げることで簡単に目を付けられた。
さぁ、ショータイムの始まりだ
「ひぃぃ!!」
情けない声だけを残して動かない仲間を引き摺って逃げていく雑魚達。
「つまんねぇ、てめぇら弱すぎ…」
その背中を見送ってから呟き、さっきからズキズキと痛んでいる口の端を触ってみる。
触ってみた指先を見てみると赤い液体が付いていた。
それを見てから深いため息を漏らした彼は豊里 陽(とよざと よう)。
彼、陽が立っているのは雅楽の中心部"月無(つきむ)"の車がたくさん通る橋の下。
「つまらねぇ…全部…、全部が…っ!」
ケンカも皆弱すぎて退屈しのぎにもならない。
赤い液体の付いた指先を壁に擦り拭ってからその場を立ち去った。
「ただいま」
ドアを開けてから言うと小さくて細かい足音が近付いてきた。
部屋から出てきたのは陽の妹である華。
自分の元へ駆けてくる妹を抱き上げるために前屈みになる陽の胸に抱き着く華を本当に愛しいと思っている陽は幸せを感じていた。
奥から出てきたのは陽の母親、音である。
「またケガをしてるのね、華に手当てしてもらいなさい」
「わ〜い!お兄ちゃんの手当ては、華がするのー!!」
両手を空に向けて上げ、満面の笑みで陽を見つめる華。
音も華も陽のケガには一切何も言わないのだ。
(母さんも華も大好きだ)
でも、満たすことの出来ないこの感情はどうしようも出来ないのだ。
(もし俺が明日にでも死んでしまったとしたら)
母さんと華はどんな反応をしてくれるだろう。
フッと自分に笑う自分。
頑張って手当てをしてくれる華を見つめながら陽は微笑んでいた。
「……?メールだ」
登録のされていないメアドに少し見るのを躊躇うが、そのメールを開いてみた。
嘘だと信じたかった。
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