籠球裏の書

□第5Q
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「お兄ちゃん、お腹空いたなぁ。」


試合会場を出て、誠凛メンバーとも別れて木吉兄妹は帰路を辿っていた。


木「腹減ったか?でも帰ったらすぐばあちゃんが飯作ってくれるだろ。」


「う〜ん、そうなんだけど……あ。」

するとスズはマジバーガー屋を発見した。


木「あんなところにマジバがあったんだな。……ちょっとだけだぞスズ?」


涎を垂らしながらマジバを見つめる彼女を見て、仕方ないといった表情で店に寄った。


「やった!ありがとうお兄ちゃん。…何食べようかな〜。」


木「軽いものにしような、じゃないと腹一杯になっちまうから。」


「それじゃあポテトと飲み物だけでいっか。」


スズはポテトと飲み物を注文し、兄と共に席につく。


ジュースを飲みながら彼の額の絆創膏を眺める。


「お兄ちゃん、おでこ痛い…?」

優しく額を撫で、心配そうに見つめる。


木「あ、これか?大したことない、大丈夫だぞ。」

ニカッと柔和な笑みを浮かべる彼に苦笑混じりだが小さくそっか、と呟く。



しばらく二人で談笑していたスズ達。






ウィーン



?「あーマジ腹減ったって、ザキー、ポテトがいい。」


?「なんで奢る前提で話してんだお前は!」


?「耳元でピィピィうるせぇよ山崎。くたばれ。」


?「ちょ、いつもより酷くねぇか花宮?」


?「まぁ仕方ねぇよ。なんたって今日は試合で……お。」


「……ん?…あっ!?」


木「どうしたスズ……あ。」


花「…ん?…げぇっ…!お前ら…!」


丁度よく霧崎第一のスタメンに出くわしたスズ達。


後ろの四人は至って普通だが、その中花宮だけは不味そうな顔を浮かべる。


原「あれー、奇遇じゃん。こんなところで会うなんて運命ー。」


原はケラケラと冗談っぽく笑いながら二人を見た。


「まこっちゃん、私あれから探したんだよ!」


ぱぁっと表情が明るくなったスズに口元をひきつらせ、瞬く間にマジバから出ていき走って逃げてしまった。


瀬「あ、花宮逃げたな。」


「ちょ、待ってよまこっちゃん!!…あ、お兄ちゃん、先に家帰ってて!私まこっちゃんを追い掛けてくる!」


それだけ言い捨てて、スズは直ぐ様花宮の後を追うように出ていった。


木「あ、おいスズ!!……行っちまったか…」


弘「つか、花宮が逃げてったよりもそれ以上のスピードだったな…。」


残されてしまった残りの霧崎第一の四人。


木「なんかドタバタしちまったな。…良かったら一緒に座らないか?」

すると木吉は四人が座れる席に移動し、ポンポンとテーブルを叩いた。


「「「「…………」」」」


木吉の言動に四人はそれぞれ顔を見合わせた。























〜第5Q〜























一方その頃、花宮を追い掛けて行ったスズはというと―




「はっ、ハァ、ハァっ…待って、待ってまこっちゃん…!」


花「はぁ…はぁ、着いて、くるな…ばぁか…!」


どれだけ走ったのか、二人の息が上がるほど走ってきたようだ。


すると観念したのか花宮がようやく立ち止まり、必死に酸素を体内に吸い込む。

続いてスズも彼の隣でめ一杯空気を吸った。


「すぅ、はぁ…すぅ、はぁ…よし!」

花「よし、じゃねーよ。なんで着いて来たんだ。ストーカーかお前は。」


「だってまこっちゃんが逃げるから…」

花「お前が追い掛けてくるからだろうが…!」


花宮は試合後でもあるため疲れたのか近くのベンチにどかっと座り込んだ。

スズも釣られるように隣にちょこんと座った。


花「おい、誰が隣良いって言ったよ。」

「まぁそんな固いこと言わないでまこっちゃん。…あ、なんか飲む?」


スズは花宮の言葉を聞く前に自販機で勝手に飲み物を選択した。


花「おい…何勝手に決めて…」


「はいまこっちゃん、ブラックコーヒーね。」


ニカッと笑い花宮にブラックコーヒーを手渡す。


花「……はぁ」

どうやら飲みたかったものが当てはまったのか、渋々受けとる。


プシュッ


缶の開いた音が響き、花宮は一気にそれを喉に通した。


「おいしい?」


花「ん、」


「ん、よかった。」

スズは背もたれに凭れ、ふと空を見上げた。


「……まこっちゃん…また、お兄ちゃんとバスケしてあげてね。


花「……」


「お兄ちゃん、まこっちゃんのことスゴい選手だって、褒めてたよ。」


花「………」


そう言うが花宮は返答しようとしない。



「ねぇまこっちゃん………バスケは…楽しい?


花「……」

スズの言葉に花宮は麿眉を寄せた。そんな事いちいちオレに聞くまでもねぇだろと、そんな表情だった。


「私は、怖いな、まだ…。


ギュッと自分の腕を握り、見つめる。

花「……だったら、なんでまたここに来たんだ。」

さっきまで黙っていた花宮がようやく口を開いた。


「それは…お兄ちゃんの事を支えるためにマネージャーになったみたいなもんで…」


花「おい、オレの前でも同じようなウソ通れると思ったか?それだけじゃねーんだろ?」


飲み終わった缶をゴミ箱に捨てて、ぴしゃりと彼女に言い放った。


「……ッ」


花「木吉とバスケしてくれっていうんなら、お前はその反対にオレに何をしてくれるんだ?」


「…私が…まこっちゃんにしてあげれること……」


























場所は先ほどのマジバに戻り、霧崎の四人と木吉とで二人について話していた。









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