零崎壱識の人間観察

□零崎
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その日、人間失格は京都にいた。
自らの鏡である欠陥製品に会うために。

「しっかし…あいつも物好きだよなぁ。」

現在戯言遣いは人類最強と同じ、請負人をやってるらしかった。

「《人類最弱の請負人》ってか。全く、傑作だぜ。」

己の手にある名刺をみながら呟く。
この名刺は人類最強に貰ったものだった。
この名刺があれば無料で依頼を受けてくれるらしい。
最強は、

「たまにはいーたんの事構ってやれよ。」

なんて言ってこの名刺をくれたが……
会いに行く口実にはなるけれど、依頼なんてなかったりするから困ってたりする。

「とりあえず、行ってみるか。」

歩き出した人間失格は、そこで気付く。


久しぶりに嗅ぐ、血の匂いに。


「日本も物騒になったなぁ。」


そして感じる身内の気配。
どうやら新しい零崎が生まれたらしかった。

気配を探してあるくと、ある倉庫にその気配。
扉を開けて中に入ってみれば、そこは惨状だった。

辺り一面血が撒き散らされ、数人の死体が転がっている。
死体を観察してみるとナイフで刺されたような跡がある奴やら、頭を銃で打ち抜かれてる奴やら様々だった。

観察を終えてただひとりたってる人物に目をやる。
後ろ姿で顔は見えないが背広を着ているようだ。

手には薄刃のナイフ。
どこかで見たことがあるナイフだった。


「おまえが…やったのか?」


「………そういうことになるんだろうね、人間失格。」


「まさか、こんなことになるなんてな、欠陥製品。」





「…戯言だな。」





そう言って振り返った彼は





「…傑作だろ。」






四年ぶりの彼は




「ねぇ…零崎。」


「なんだ?いーたん。」






その双眸を赤く朱く紅く染めて






「人を…壊したくて、仕方ないんだ。」






その存在を






「今まで我慢してきたはずなのに……我慢できないんだ…。僕は……どうしたらいい?」







大きく変質させていた。


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