大空の誓い
□独占欲
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綱吉side
雲雀さんが、好きになった。
相手は男で、あんなに強くて怖い人で。
だけど、自分の気持ちに嘘を突き通すことは出来なかったから、思いきって告白した。
手酷く振られて殴られるのも覚悟の上だったから拍子抜けして、へたり込んでしまった。
夢のような心地で、家までどう帰ったのかすら分からないくらいにふわふわしていた。
だけど次の日。
校門の所で不良を咬み殺している雲雀さんを見て、頭の芯が僅かに冷えた。
この人は自分の事だけを見てくれるだろうか?
そんな奴等に構わないで。
俺だけを見て。
勿論、死んでもそんなこと言えないから、黙って見ていることしかできない。
応接室へもなるべく行かないようにした。
雲雀さんの仕事の邪魔をして迷惑がられたくなかった。
呼び出しを貰えた時だけ訪ねる。
その時はいつも物凄く嬉しくて。
顔が赤くなりそうで、緊張して小さく笑うことしかできなかった。
それに、いつも好きだと言ってくれて、愛してると言ってくれて嬉しかった。
まだ彼の一番は自分なんだと思えたから。
でもそのうち俺はボンゴレを継がなくてはいけなくて。
そのときは、雲の守護者である雲雀さんも俺と一緒に来てくれる。それは勿論、とてもうれしい。
だけど。だけどもしマフィアの世界に入った時、俺より強い人が雲雀さんの前に現れたら。
――貴方はまだ、俺だけを好きでいてくれますか?
無理だったら?
雲雀さんが俺を見限ったら?
それが堪らなく恐い。
獄寺くんが脇から話しかけて来て、咄嗟に笑いながら返す。
雲雀さんの前でこんな風に笑いたいのに。