大空の誓い

□独占欲
4ページ/4ページ

《2ーA、沢田綱吉。今すぐ応接室に来なよ》


放送が入って飛び上がる様に応接室に向かって駆け出した。

後ろで獄寺くんが何か言ってるけど聞こえなかった。




ガチャッ




「な、なんで、すか?雲雀さ…恭弥さん」

慌てて走ってきたから弱冠息が乱れてる。

雲雀さんは執務椅子に力を抜いてもたれ掛かっていた。


「ねぇ、僕らは付き合ってるんだよね?」

「ほぇ!?……は、ハイそうですけど」


疲れきっていたはずの自分の身体が冷静さを取り戻す。

なぜ、今そんなことを確認されている?


――別れる、ため?



「じゃあ、笑ってよ」



泣くのを堪えようとしていたから上手く笑えない。
最後くらい、ちゃんと笑いたいのに。


雲雀さんが突然立ち上がる。
そのまま俺の前まで歩いてきたその顔は酷く苦しそうで。

声をかけようとしたら、雲雀さんの細くて長い指が俺の首にかかった。


「き、恭弥さ……ぁく、くる、…ぃ」

苦しいです。そう言おうとした唇から息が出てこない。

雲雀さんの腕を掴もうとして、ふと頭に浮かんだ考え。




どういう理由にしたって、雲雀さんの中に俺を絞め殺した感触が残る。
トンファーで殴らないで、自らの腕で初めて殺した人間をきっと忘れないでいてくれる。



雲雀さんの心に、永遠に俺が残る。







そう思った瞬間、止めようとした腕を雲雀さんの顔に持っていく。
初めて触れた雲雀さんの頬はひんやりとして気持ちよかった。

俺に触られた感触が残ればいい。




薄れゆく意識の中で、こんな死に方ならいいか、と俺はうっすらと微笑んだ。








雲雀さん。貴方は一生俺のものです。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ