大空の誓い
□独占欲
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《2ーA、沢田綱吉。今すぐ応接室に来なよ》
放送が入って飛び上がる様に応接室に向かって駆け出した。
後ろで獄寺くんが何か言ってるけど聞こえなかった。
ガチャッ
「な、なんで、すか?雲雀さ…恭弥さん」
慌てて走ってきたから弱冠息が乱れてる。
雲雀さんは執務椅子に力を抜いてもたれ掛かっていた。
「ねぇ、僕らは付き合ってるんだよね?」
「ほぇ!?……は、ハイそうですけど」
疲れきっていたはずの自分の身体が冷静さを取り戻す。
なぜ、今そんなことを確認されている?
――別れる、ため?
「じゃあ、笑ってよ」
泣くのを堪えようとしていたから上手く笑えない。
最後くらい、ちゃんと笑いたいのに。
雲雀さんが突然立ち上がる。
そのまま俺の前まで歩いてきたその顔は酷く苦しそうで。
声をかけようとしたら、雲雀さんの細くて長い指が俺の首にかかった。
「き、恭弥さ……ぁく、くる、…ぃ」
苦しいです。そう言おうとした唇から息が出てこない。
雲雀さんの腕を掴もうとして、ふと頭に浮かんだ考え。
どういう理由にしたって、雲雀さんの中に俺を絞め殺した感触が残る。
トンファーで殴らないで、自らの腕で初めて殺した人間をきっと忘れないでいてくれる。
雲雀さんの心に、永遠に俺が残る。
そう思った瞬間、止めようとした腕を雲雀さんの顔に持っていく。
初めて触れた雲雀さんの頬はひんやりとして気持ちよかった。
俺に触られた感触が残ればいい。
薄れゆく意識の中で、こんな死に方ならいいか、と俺はうっすらと微笑んだ。
雲雀さん。貴方は一生俺のものです。