大空は悪夢の海に堕ちるか?
□第3夢 起きてしまったは裏切
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暫くして、悲鳴を聞き付けた山本達がやってきた。
階段の一番上にいる綱吉と、転がり落ちている椎葉。
状況証拠だけで見てしまえば綱吉が椎葉を突き落とした様に見えるのは当然。
山本が綱吉に殴りかかり、綱吉の華奢な身体は吹っ飛んだ。
「なんでこんなこと出来るんだよ!?真理亜はお前の為にここにいるんだぞ!?それなのによくもこんなことが……っ!」
「……もう信じられないっすよ、10代目……!貴方がそんな人だったなんて……!」
「おれは、やってない……!信じてよ、獄寺くん、山本!」
その叫びは彼等に届くことはなく。
「次に真理亜に手ぇ出してみろ!只じゃおかねぇからな!」
「てめえをボスとして慕ってた自分が馬鹿馬鹿しくなったぜ!」
そう捨て台詞を吐いて、二人は椎葉を保健室へと連れていった。
「ぅ、あ……っ!!」
残された綱吉は、静かに嗚咽を洩らす。
そこに……。
「誰だい?授業はもう始まって……!?綱吉!?どうしたの!」
現れたのは見回りをしている雲雀。
頬にあるアザと、涙を流す綱吉に慌てて駆け寄ると、綱吉を抱き上げ、応接室に運ぶのだった。
「……何があったんだい?」
綱吉を運んで、骸とクロームに招集の放送をかけた雲雀は、心配そうに訊ねる。が、綱吉は話そうとはしない。
クロームが手当てをしながら見つめた。
骸は静かに告げた。
「……椎葉真理亜、ですか?」
瞬間、確かに綱吉は反応を返した。
「……俺、なにもしてな……っ!ホントに、何も……っ!」
怯える綱吉を安心させるように、クロームは優しく傷跡に滲む血を拭った。
雲雀は当然だと綱吉の頭をポンポンと優しく叩く。
「僕らが貴方の事を信じないとでも?…もともと僕らは椎葉真理亜を嫌いでしたから。とうとう、貴方に手を出したんですね」
確かに、骸逹3人は初めから椎葉真理亜を避けている節があった。
「もう、僕らのクラスにまで綱吉くんが椎葉真理亜を怪我させたという話が耳に入ってきています。勿論、僕とクロームは信じてなんていませんが」
「ボスはそんなことしない……」
「君はそんな下らない事しないよ」
「……あ、りがと皆」
「……さて、今日はナミモリーヌのケーキだよ。クローム、お茶入れてくれない?」
雲雀が話題を変え、微笑みながらクロームに言う。
「……あ、うん。今日の紅茶はダージリン、だよ?」
「おや楽しみですねぇ綱吉くん?」
「……!うん」
問い詰めたり、騒ぎ立てたりしないで見守ってくれる3人が、綱吉にとっては嬉しかった。