大空は悪夢の海に堕ちるか?
□第3夢 起きてしまったは裏切
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3人に大丈夫だとは言ったものの、綱吉に対する風当たりはどんどん強くなった。
獄寺と山本は勿論、京子や了平までもが綱吉の敵に回ったのだ。
綱吉はボロボロだった。
そして綱吉にとっての最悪の悪夢が襲う。
綱吉はリボーンを人一倍慕っていた。
ダメダメだった自分を、経緯はどうであれ変えさせ、交友の輪を広げさせてくれたのはリボーンだと、思い込んでしまっているからだ。
本来から綱吉に内在していた綱吉自身の力を、リボーンはただ引き出しただけだったのだが。
とにかく、綱吉はリボーンを慕っていた。恐らくは自分の父親より、ずっとずっと。
綱吉が椎葉に嵌められてから2週間くらいたった頃の話。
当時の綱吉は、リボーンに心配をかけさせまいと、そして椎葉を連れてきたリボーンに罪悪感を持たせまいと、必死で罠に嵌められた事も苛められている事も隠し続けていて。
それが、最悪の誤解を招く羽目になった。
「おい、ツナ。どういう事だ」
「どうしたのリボーン?そんな怖い顔してさ」
「……マリアを苛めてるってホントか」
それは質問と言うよりは確認。
リボーンが椎葉の事を信じているのは明白だった。
それでも綱吉は弁明を試みる。リボーンだけは、誰が信じてくれなくてもリボーンだけは信じてくれると、心の何処かで信じていたからかもしれない。
「違う!俺は何もしてないよ!真理亜ちゃんが勝手に……」
「言い訳しやがるのか?素直に謝るなら許してやろうと思ったんだがな」
「リ、ボーン?」
信じていた家庭教師は、確かに自分に銃を向けていて。
「殺しはしねぇ。マリアの痛みを味わえ」
綱吉は縫い止められた様に動けなくて。
リボーンの銃が火を噴いた瞬間、綱吉は誰かに突き飛ばされ、その腕を銃弾がかする。
「……何のつもりだ、ビアンキ」
「貴方こそ!何を考えているの、リボーン!ツナは悪くないわ!」
綱吉を庇ったビアンキは自身の背後に綱吉を引き寄せ、盾になるかのようにリボーンを睨み付けた。
「本気で言ってやがるのか?ツナはマリアに怪我を負わせたんだぞ!」
「貴方こそ本気で言ってるの!?リボーン、貴方正気!?ツナに銃を向けるなんて!この子は何もしてないでしょう!」
ビアンキは必死でリボーンに告げるが、その返答は冷たく。
「だったらマリアの身体中の傷や、獄寺と山本が見たっつーツナがマリアを突き落とした事はどうなるんだ!」
「隼人達は実際にその現場を見た訳じゃないわ!貴方だって、ツナがマリア・アゼレードに何かしているのを直接見たわけでは無いでしょう!」
「……ちっ。ビアンキ、ちったぁ頭を冷やしやがれ。テメーは俺の愛人だ。それに免じてこの場は見逃してやる。
……だが、次にマリアを苛めたりしたら承知しねぇ。ボンゴレ10代目候補をマリアにし、お前に粛正を加える。
部下を傷つけるようなボスはいらねぇからな」
捨て台詞を吐いて、リボーンはその場を去った。
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