大空は悪夢の海に堕ちるか?

□第3夢 起きてしまったは裏切
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「ツナ!平気ね?」


「ビアンキ、俺何もしてないのに…!」


パニックになりそうな綱吉を、ビアンキは優しく宥める。


「分かってるわ。

一部のフリーな殺し屋の中では有名な話よ。マリア・アゼレードがボンゴレ10代目の座に執着していることは。
今までの3人の候補の死にもあの女が関わっているという黒い噂もあるしね」


リボーンは知らなかったみたいだけど。


苦々しげに口にしたビアンキは、綱吉が腕に怪我をしている事に気付いた。


「ツナ、その傷は……あぁ、庇いきれなかったのね。悪かったわ」



言いながら綱吉の手を引き、ビアンキは学校に向かった。












辿り着いた先は保健室。

慌てる綱吉をせき立てつつ、ビアンキは保健室の扉を思い切り開ける。


「シャマル!怪我人よ。見てちょうだい」



「お〜ビアンキちゃんじゃねぇか〜!怪我人?どんなかわいこちゃ……何しに来たんだボンゴレボーズ」


明らかに声とテンションが下がったDr.シャマルに、綱吉はびくっと怯えた。
シャマルもまた、椎葉の味方だと思ったのだ。


だが。

「馬鹿言わないで。マリア・アゼレードが動いたのよ」

ビアンキに告げられたDr.シャマルは、一瞬目を見開いてから綱吉に目を移し、頭をガリガリと掻いてから包帯を取り出す。


「ボーズ、こっちに来い。男は見ない主義だが今回は仕方ねぇ」


「え、シャマルは、真理亜ちゃんの事信じてるんじゃ……」



「あのなぁ、俺にだって女の子を選ぶ権利はあるんだよ。あいつは見た目は良いかもしれねーけど、腹ん中真っ黒だぜ〜?冗談じゃねぇよ、あんなもんブスな子の方がマシだっつーの」


性格ブスよりは外見ブスの方が可愛げがあるだろーが。



綱吉の腕に包帯を巻きながらDr.シャマルが顔をしかめる。



と、その時。



バタァン!



「綱吉!」
「綱吉くん!」
「ボス!」


保健室の扉を殴り飛ばして、雲雀達が飛び込んできた。
部屋の中にいたDr.シャマルとビアンキから遠ざけるように、綱吉を自分達の方に引き寄せる。


「綱吉くんに何するつもりです?」

骸の放った敵意の塊のような言葉に、綱吉が慌てて仲裁に入った。


「ちょ、ちょっと!骸ストップ!ビアンキとシャマルは俺を助けてくれたんだ!」


「……本当に?」


「うん!だから駄目だって!」




「……愛されてるわね、ツナ」

ビアンキがどこか微笑ましそうな顔をするのを見て、ようやく3人は敵意を向けるのを止めた。


そして、骸が礼を言う。

「綱吉くんを助けて下さってありがとうございます」


「あ゛ー……」


Dr.シャマルは居心地悪そうに後ろを向いた。








「それで、どうしたの?」


雲雀が改めて綱吉に訊ねる。



「あ、えっと……その……リボーンに、怒られちゃって。真理亜ちゃんを苛めるなって。次、やったら10代目候補から落とされて粛正、なんだそうです。


とうとう、リボーンまで信じてくれなくなっちゃいました」


寂しそうに笑う綱吉が、心で泣いている事くらい誰もが分かっていた。



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