大空は悪夢の海に堕ちるか?
□第4夢 動きだすは暗殺者
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その次の日、雲雀達は急にリボーンに呼ばれた。
曰く、大切な話があるのだと。
幸いリボーン達にはまだ、雲雀と骸達が打ち解け、綱吉と仲がよかったことは知られていない。
「……何の用だい、赤ん坊」
集められた守護者、そして椎葉の姿を見つけた雲雀は骸達しか気付かない程に小さく、その顔を歪めた。
「今日集まってもらったのは他でもねぇ。新たなボンゴレ10代目が決まったんだ」
告げた瞬間、骸から誰も気付かない程度に薄く、薄く殺気が放たれた。
「それは、ここにいる椎葉真理亜……いや、マリア・アゼレードだ」
リボーンが言ったと同時に椎葉が前へ出、口を開く。
「……マリア・アゼレード。ボンゴレ10代目の件、お引き受けします。ですが、まずは皆様にやっていただきたい事があります」
言葉を切り。
「……綱吉を探すことです」
途端に、獄寺達から反対意見が飛ぶ。
「ですが、あいつはマリアさんを!」
「あんなやつ、あのままいなくなっちまえばいいのな!」
「極限に同感だ!」
3人の言葉に、骸が怒りを抑えつつ訊ねる。
「……沢田綱吉はどうしたんです?姿が見えませんが」
「アイツなら、俺達が制裁が加えた。部下を、仲間を傷つける奴に、ボスたる資格はねぇ」
「…………そう、ですか」
骸がやっとのことで自分を抑えて引き下がるが、そこに椎葉が油を注いだ。
「でも、あれは……。私は綱吉を仲間だと思ってる。今でも。だから、綱吉を探して。お願い」
「………………っ!」
「おい、何処へ行く雲雀!」
リボーンに呼び止められ、ピタリと足を止めて振り返りもせず言い捨てる。
「話は終わったんでしょ。ならもうここにいる理由は無いよ」
「……では、僕らも行きましょうか、クローム」
「はい、骸様」
3人の姿が消える。
そして夕方。
再び綱吉の病室に集まった3人はシャマルとビアンキに事の経緯を説明した。
「そうか……。リボーン達だったか」
「こっちも最悪だわ」
ビアンキが顔を歪める。
「ツナのママンが、ツナを信じてない。しかも、昨日私がいない間に「友達を苛める人間は自分の子ではない」と言い切ったみたい」
だったら、自分の子を信じないアンタは親の資格なんてない、と吐き捨てて。
「……!うそ……!」
その時、クロームが狼狽えた声を出した。
「どうしたんです?クローム」
だが、クロームはそれには答えず、頻(シキ)りに綱吉の胸元や指を気にしている。
「無い……!」
「クローム?一体何を……」
雲雀が言いかけて。
「無いの!ボスの、大空のリングが何処にも無いの!」
クロームの叫びに、雲雀と骸は固まった。
「……っ!?」
「まさか……!」
骸が慌てて確認するが、大空のリングは消えていて。
「……ひょっとして、椎葉が?」
「可能性はあります。直接見なければ分かりませんが。僕が探してみます」
骸とクロームが病室を出て、椎葉達のもとへ向かい。
雲雀は出る前に一度綱吉を振り返る。
「……綱吉……っ!」
そして、半ば無理矢理顔を背け、並高の応接室へ向かった。
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