大空の誓い

□ジョハリの窓
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「ねぇ、綱吉。『ジョハリの窓』って知ってるかい?」

その雲雀の言葉を聞いて情事後特有の気だるさに弛緩していた綱吉は、僅かに雲雀に擦り寄ると口を開いた。

「うん、まぁ。たしか……

『人間は心に4つの窓を持っている。

1つ目は自分にも他人にも見える部分の窓。

2つ目は自分にしか見えない部分の窓。

3つ目は他人にしか見えない部分の窓。

4つ目が他人も自分も見えない部分の窓。』

……だったよね?」

一応答えてはみたものの、なぜ今こんな話をされるのか、綱吉には検討もつかない。
ピロートークとはいかなくても、今はそれなりに甘い時間のはずだ。
なぜ自分は哲学の話をされているのだろうか。


そんな疑問が顔に浮かんでいたのだろう。雲雀は軽く口角をあげ微笑むと綱吉を抱き寄せた。

「ナンセンスだと思わない?
4つ目の『他人にも自分にも見えない部分の窓』ってやつ。他人にも自分にも見えないと言うのならば、なぜそれが存在すると言えるの。
その存在を認識するものが誰もいないというのに」

雲雀の意図が読めないままに綱吉は会話に引き込まれていく。

「恭弥、それは『悪魔の証明』だよ。確かに存在する、と断言はできないけど存在しない、なんてのも証明できない」

綱吉が乗ってきた事に、僅かに驚いたように目を見開く。
そして続けた。
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