大空の誓い

□世界を……
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体が熱い炎に包まれていく。


薄れ逝く景色の中で最期に見たのは沢田綱吉くんの、怒りと悲しみに満ちた顔。



もうなにもかもどうでもよくなって、僕はゆっくりと瞳を閉じた。











いつの間に、気を失っていたのだろうか。

目を開くと、そこは最期の戦いのあった森ではなかった。



キラキラと光を反射して光る湖。


周りは木に囲まれ、辺りに満ちる清浄な空気。


微かに聞こえる鳥の鳴き声。



嗚呼、地獄はこんなに美しい場所なのか。

ボンヤリと座ったままとりとめもなく思っていると、不意に脇の茂みがガサリと音を立てた。


隣に人が立つ気配。

ノロノロと見上げれば、そこにいたのは。




「骸、くん……?」


「クフフ……お久しぶりですね、白蘭」

懐かしい、その独特の笑い方。

「ここは地獄ではありませんよ」

骸くんはこっちを見て静かに微笑む。
違うのか。残念。

「ここ、どこなの……?」

「現世(ウツシヨ)からあの世までの間にある道のようなものです。そして、僕の休息の場でもある」

「骸くんこんなとこにいつもいるんだ〜。いいなぁ、僕もここに住んでいい?」

半分本気、半分冗談。
返ってきた返事は案の定「No」で。

「それはできませんね。貴方はこの先に進まなくてはならない」

うん、わかってる。僕は綱吉くんに負けて死んだのだから。

もう、逝かないといけないのかな。
立ち上がって骸くんを見る。
目線が同じ高さになった。


「じゃ、逝こうかな。バイバイ、骸く「待ちなさい」

挨拶を遮られ、腕を引っ張って連れ戻された。
まだ、何かあるだろうか。もうなにもない筈なのに。
「……どうしたの」

「貴方は、なぜ究極権力なんていうバカな物を望んだんですか」


「だから、言ったでしょ。超時空の覇者になるため」
いきなり核心を突かれて、答える声が震えているのがわかった。

「嘘ですね」

そして間髪入れずに返される否定の言葉。
笑顔が強張っていく。
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