Trick and Treat!!
□第二章
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薄汚い倉庫のような場所。
ここが扇グループのアジトだ。ここを歩いていると、いつも思う。ルルーシュの、ゼロのお蔭でこいつらは騎士として動けていたんだと。
それなのに、あんなに簡単に裏切るなんて本当にこいつらの脳味噌は替わりに蟹味噌詰まってるんじゃないかってくらいに鈍い。
……大したことも出来ないくせに、主張だけはご立派なんて……
「ちょっと、聞いてるのミキ!?」
耳元でカレンの大声が弾けた。
途端にあたしは正気に戻る。危ない。危うくキレる所だった。
「ミキ。今回の毒ガス奪取計画なんだけど、こんな感じでどうかな?」
このグループに賛同したふりをして、テロリストとしての位置に収まって半年以上が立つ。
なんとか捕まらず、見つからずにやれていると思う。
だが、誤算が1つ。
「どう、かな?」
頼り無さげに此方を窺う扇と目を合わせないようにしつつ、計画書に目を通した。
「……ここのルートを此方に変更すべきでは?此方の方が逃走ルートが2つほど上乗せで確保出来ますが。それと、こんな大型トラックを動かす以上、ヘタに細い道を通っては危険ではないですか?袋小路に追い込まれたり、小回りの利く生身の兵士に取り囲まれやすくなると思いますけど」
「な、成る程!じゃあそこを直しておくよ、ありがとう!」
この扇が余りにもリーダーとして向いていなさすぎた。
何故、こんなことを私に聞くのか。
そもそもに、今まで行われてきたことすべての計画書が虫食い過ぎる。
スタートとゴールしか判明していない迷路の様なものだ。
これでよくテロリストとして生き残っていられた。それとも、カレンの兄が優秀だったのか。
「ちょっとミキ!アンタね、もーちょっと愛想良く出来ないわけ!?扇さんがせっかく……」
「いいよ、カレン。でも、僕達は仲間なんだし……もう少し頼って欲しいな、ミキ」
仲間?どの口がそれを言うのか。
一瞬、怒りで我を忘れた。
「仲間?ならばどうしてあの人を裏切ったの……!」
お前に、仲間という単語を出す資格など無いくせに。
「あの人?裏切った?な、なんのことだい?」
「っ!?……なんでもありません。少し、勘違いをしたようです。そろそろ出ないと不味いと思いますが」
危ない。今日初めてゼロを認識出来る。そのことに浮かれすぎていたらしい。
あたしの言葉でカレンが時計を見やり、慌てて飛び出していった。
あたしも出よう。ルルーシュが来る筈だから。
未来は、絶対に変えてやる。