大空は悪夢の海に堕ちるか?
□第4夢 動きだすは暗殺者
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「3人とも、大変よ!」
雲雀達がいつもの通りに応接室で綱吉を待っていると、突如ドアが大きく開け放たれた。
息を切らして立っていたのはビアンキ。
「どうしたんだい!?」
雲雀が、いや3人が立ち上がる。
「ツナが……っ!シャマルの所よ、行ってあげて、早く!!」
ビアンキの涙声に、何かあったと感づいた3人は慌てて応接室を飛び出して。
「ごめんなさい、ツナ……!」
後には泣き崩れるビアンキの姿が、後悔するビアンキの姿が残っていた。
「何があったんで……っ!」
骸の言葉は途中で宙に浮いてしまって。
「綱……吉?綱吉!綱吉!」
「ボス!?っ嫌、ボス!いやぁぁぁあああああああああ!!!」
駆け寄る雲雀と、絶叫するクロームの前にあったのは、シーツを血みどろに染めて、微かに息をしている綱吉の姿。
「早く、ボーズを病院に連れていかねぇとまずい!ここじゃ、圧倒的に設備がたりねぇんだ!」
シャマルが珍しく焦って怒鳴ると、雲雀が携帯を取り出し、電話をかけ始める。
「僕だ。今から重傷患者がそちらに行く!彼を助けなければ、君たちを殺すから」
電話を切った雲雀はそのまま振り向く。いつもは冷静な彼が、このときばかりは取り乱していた。
「並盛病院の院長に掛け合った。綱吉を連れていくよ!」
泣きそうになりながら頷いた二人は、シャマルと共に病院に向かった。
「雲雀くん。もう大丈夫ですよ。彼は一命をとり止めました」
手術室から出てきた院長の言葉に、3人とビアンキは安堵のため息を吐いた。
院長の後ろからは手術服を着たシャマルが出てきて、深刻な顔で雲雀達を呼んで。
雲雀が人払いをかけてから綱吉のいる個部屋に全員が集まる。
「ボーズの事なんだが、身体中に大量の傷を負っていた。
タバコと、恐らく感電による火傷、刀傷、銃創、打撲痕、あとは身体中に痣が出来ていた。……一歩遅ければ死んでたな」
ガンッ!
シャマルが全て言い切ったと同時に、雲雀が壁を殴った。
骸が赤く充血した瞳でシャマルを睨み付けて。
クロームは顔を手で覆って嗚咽を洩らしている。
「……誰がっ……!誰が、こんなことをしたんです!?」
「………………いいか。これはただの憶測だ。俺はそうでないと良いと願ってる。それを踏まえた上で、これから言う戯言を聞いてくれ」
そうして、シャマルは言葉を切って。
大きな溜め息の後に、ポツリと溢した。たった、一言。
「……リボーン達の可能性がある」
瞬間、だった。
背を向けていた雲雀から尋常でない殺気が迸った。それは、裏社会に生きるシャマルをも圧倒するもので。
「……ふざけるな。あの子が一番信頼していた奴等が、あの子にこんなことを……!もういい、これ以上我慢する気はない!」
「!?恭弥くん!何処へ行くんです!?」
ドアへと歩を進めた雲雀を骸が立ち上がって止める。
だが、雲雀は振り返りもせず絞り出したような声で告げた。
「……決まってるでしょ。あいつら、もう許せない。殺してやる!」
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