零崎一賊の休息時間
□奴隷兄妹の隷属宣誓
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きっかけは一つの依頼からだった。
「依頼?一体誰から?」
綱吉が、久々にやって来た愛織を出迎えつつ訊ねる。
綱吉と雲雀が覚醒してから約一年、二人は少しずつ愛織の手伝いをしていた。
また、愛織が誰か(もう忘れた)から貰った(正確には押し付けられた)家のうちの1つを譲り受けて、綱吉達はちょくちょく出会うようになった。
「それがね。珍しい事に闇口の人からなの。いくら私とはいえ、彼らは主以外には干渉しないで生きていくのが普通で、当然なのだから」
「へぇ……。それで、その内容っていうのは?」
話を聞きながら雲雀が紅茶を運んできた。
「それがね……闇口の子供が二人、表世界のマフィアにさらわれたらしいの」
「……その子供二人を救出してほしいってことか?」
綱吉が訝しげに問う。
愛織は紅茶を一口飲んでから口を開いた。
「半分正解半分外れってとこね。確かにそれもあるんだけど……寧ろ、その子達がキレてそのマフィアを滅ぼさないかどうかの方が依頼人にとっては心配の対象みたい。14歳と16歳の男の子達でね、一族の中でもトップクラスの強さを持つのに、主に仕えてはいないらしくて」
「なるほど。必要以上に表世界に干渉して欲しくは無いわけだ」
「そういうことよ。それで、イタリアまで来て手伝って欲しいの。……良いかしら」
「あぁ。リボーンのことならなんとか誤魔化して見せるさ」
「僕はいつでも構わないよ」
二人の承諾を得て、愛織がふわりと微笑んだ。
「良かった。……ただ、1つ問題だったのがね。そのエストラーネオとかいうマフィア、表世界で人体実験やら改造やらやっちゃってるらしいの」
「それって……その子達が実験材料にされる可能性もあるってことか!?」
「ちょっと、早く助けにいかないと!」
焦ったように立ち上がる二人に、愛織はひとつ頷きを返して。
「本当は今すぐにでも行きたいくらいなの。……でも、情報も集めなくちゃいけないし、準備もある。……3日後でどうかしら」
「分かった。必ず準備しておくよ」
「3日後、必ず会おう」
これが、3日前の話。