大空は悪夢の海に堕ちるか?

□第5夢 現れるは初代
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同時刻。



応接室に満ちた二つの光は、二人の姿を成した。


「あなたがたは……!」


「ん〜……お久し振りですねぇ」


「悪いけど、ここから先は行かせない」


「アラウディ……!」

「D.スペー、ド……」


雲雀とクロームが鋭く彼等を睨み付ける。


「……今までリングから見ていたならわかるでしょう。何故止めるんですか?…………貴方達も、アゼレードの味方ですか?」


骸が言った瞬間、雲雀とクロームの空気が凍った。

先程より、確実に強い殺気をアラウディ達に向けて放っている。
だが。


「僕らが、あの女の味方?」

「その冗談は、まったく面白くありませんよ六道骸」


こちらもまた、あり得ない、と首を振る。


「っでは何故!?何故止めるんです!?」


ギュッと握りしめられた三叉槍にはただただ、憎しみと悲しみが込められていて。

けれど、アラウディは繰り返す。


「今は、ダメだ。……今、あいつが]世を目覚めさせようとしている」


「ボンゴレ]世を闇から引き摺りだすんです」


「あい、つ……って……」


クロームが驚きで目を見開いた。


「……そう。ジョットが。彼が真の]世を連れ戻してからが勝負の始まりだよ」



「……どういうこと?」


アラウディの言い方に引っ掛かりを覚えたのか、雲雀が訊ね返した。

いつの間にか、あの凍りつくような殺気は消えている。


「ん〜……もう一度、リング争奪戦を行うんですよ」



「その場で、裏切り者にも制裁を与えれば良い。……キャバッローネのボスも、出過ぎた真似をし過ぎた」


「]世側の守護者は貴方達とヴァリアーから選出しなさい。その旨を、現在G達がヴァリアーに説明しに行っています」


二人からそう言われ、雲雀達は考え込む。
そして、骸が口を開いた。



「……D.スペード。貴方は綱吉くんを認めていなかったのでは?」


骸の突然の言葉に、スペードは意表を突かれたように目を僅かに開いて、クスクスと笑いを溢した。

「ん〜。確かに彼ではボンゴレを大きくしていけるかどうか、はなはだ怪しいものです。ですが、」


スペードは言葉を切り、珍しく邪気のない優しげな笑みを浮かべて。



「彼は周りの人間を引き寄せるカリスマ性があります。そして、誰かを守ることで強くなる力も。血を引いているだけではありません。……沢田綱吉は、ボスの器そのものですよ」




「……あまりに、優しすぎますけどね」


付け加えるように告げる骸の言葉に、確かにそうだ、とスペードと雲雀がその顔に笑みを見せた。








「ところで、僕らが来たのには意味があるんだけど」


改まってアラウディがそう告げると、違う空気を感じ取ったのか、3人が真剣な顔で振り向く。


「……僕らが来たのは他でもない。雲と霧の守護者の修行だよ」


「貴方達は今のままで十分強い。ですが、沢田綱吉を守り、彼等を倒すために強くなるのに越した事はないでしょう?」


告げられた言葉に、雲雀達の瞳は決意の炎を燃やした。



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