DMC

□wish
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テメンニグル―――――

アンタを追いかけて塔を登ったあの夜、
結局アンタを引き止めることが出来なかった…

アンタは気づいてないだろうな―――
あの塔でアンタの姿を目にした時、
怒りよりも何よりも会えたことへの喜びで体が震えていたこと。
アンタへの意地ばっかりが先走って
挑発する言葉しか出せなくて仕舞いには殺し合いの様なケンカ。
本当は直ぐにでもそばに行って触れたくて堪らなかったのに…
ほんとにどうしようもない兄弟だよな俺達。

でも俺は愉しかったんだよ。
俺がアンタを追って行けば行く程、鉄面皮なアンタの顔に感情が溢れてくるから。
苛ついたり、悔しがったり、
その表情が何よりも俺の心を躍らせていたんだから。

「合言葉覚えてるか?」
そう聞いた俺に返事はせずに小さく笑って返事をしてくれたアンタ。
それだけですべて解り合えた気さえした。

なのに―――

「お前は残れ」
そういってまた俺を置き去りにして行くんだな…
俺の手から逃れるように魔界の底に堕ちて行くアンタ。
闇に飲み込まれていくまで俺たちは見つめあってた。
澄んだベイビーブルーの瞳で何を伝えていたんだろう?

俺はその瞳に何も言えないままで…


“一緒に帰りたい…”
ただそれだけの気持ちを、言葉を伝えられなかった後悔の念と
アンタを失った悲しさを拭い去ることは出来ない。

けれど、心の奥底にあるのは、

“Vergil”
再び逢えて貴方の名前を呼びたい、という
―――願望―――



              END 

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