DMC
□Changing places
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さわやかな朝。
ダンテは上機嫌な様子で鼻歌を歌いながらシャワーをあびていた。昨夜、無理をさせてしまったバージルの為に朝ごはんの支度をしてあげようとして起きたのだった。
昨日のバージルもかぁわいかったな〜♪たまんないよホント。
思い出すとついついにやけ顔になってしまう。
浴室から出て脱衣所の鏡で髪の毛を拭いている自分を見て、ダンテはふと考えた。
自分も髪を後ろに流したらバージル見たくなるのかな?
思い立ったらさっそくやってみる。乾かした髪にワックスを付けて作っていく。
「おぉ!!バージルみたいだ♪」
鏡の前の自分は双子なだけあり、バージルに良く似ていた。愉しくなってきたダンテはバージルの服も身に付けてみた。少々タイトな気がしたがなんとか着こなして再び鏡の前に立つ。鏡に向かって顔を引き締めてみる。
・・・・・・・・・・・・・。
すっげーー!バージルだよ!!そっくりだよ俺★
ひとり鏡の前で興奮しているダンテはなんとも滑稽に見える。調子に乗ってきたダンテはバージルの格好をしたまま鏡の前でバージルのよくする仕草や科白を言ってみては一人悶え喜んでいた。
そんな1人バージルごっこをやっているうちに時間は過ぎていき、事務所のドアから誰かが入り込んで来たことにも気づかないでいた。
「バージルさん!!」
「?」
脱衣所の入り口には息を切らしたエンツォが居た。
「なんだかバージルさん!!ちゃんと起きていらっしゃったんですね。今日の依頼主との面会までもう時間が無いですよ!!現場まで送って行きますから早く車に乗ってください!! 」
エンツォはそう言って外に止めてある車へと戻っていった。
あ、…しまった…ついついバージルの真似っこをしていたら朝飯の用意を忘れてた…肝心のバージルも起こしてないし…。今から起こしても用意に時間がかかる。
何よりバージルに怒られて、きっと朝から血の海だ。せっかくシャワーに入ったのにそうなるのは勘弁だ。
少し悩んだ後、すぐに思いついた。
そうだ!今自分はバージルの格好をしている。エンツォの奴も俺だと気づかなかった…。黙っていればボロはでないだろうし、このまま行ってさっさと仕事を終わらせればいいんじゃね★
そう決めたダンテは、よし!と気合を入れて壁際の刀掛けに置かれていたバージル愛用の闇魔刀を手に取り事務所を出ていった。