愛でる虎 逃走編
□愛でる虎31
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あたまが、ぼうっとする。
ずうっとふわふわして、このままじゃいけないって、思った。
父上からいただいた小刀をもってみた。
おれがつよい男になるように、お守りだって言っていた…
小刀を持っていたら、父上につれていってもらったまちを見わたせる丘に、行きたくなった。
すこし歩くけど、ひとりで行ける。
行けると思ったら、ぜったいに行きたくなった。
今はそれだけがだいじなことに思えた。
おれのいる離れにちかづくやつは、今はきたいがいにいない。
ぬけだすことは、たやすいことだ。
……おれのふんだとおり、城からかんたんにぬけだすことができた