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□第一回 マイスターズ会議
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「待ってティエリア!行かないでくれっ!」
「んがっ!」

咄嗟に掴んだのはピンクのカーディガン………の裾の部分だった!!

「貴様!よくも俺の……!!」
「…………………………」

沈黙が流れた。

元から黙っていた刹那は僕と目が合うとすぐさま斜め45°ほど下の部分に目を向けた。
ロックオンはなにものかによる右手首への武力の弾圧により、ぴくりとも動かなくなっていた。

そして、僕の手の中に残るピンクを彩るふわふわした糸。

世間ではそれを毛糸と呼ぶ。

それがティエリアの胸の下あたりからピィ〜〜〜〜と僕の握る拳までのびているのだった。

「ティ、ティエリア……」

掴んだところがまずかったのかもしれない。
腰を隠すほどあったティエリアのカーディガンは、みぞおちが隠れるか隠れないかの際どいものと化していた。

「成長とは、早いものなのだな」
「どこの誰がこのような進化を遂げる!!」

そしてその鋭く紅い瞳は、僕に向けられた。
怒り<殺意 の目だ。

「アレルヤ・ハプティズム!!貴様は万死に値する!!」
「ごめんっ!!ごめんよティエリアぁ!!」
「ひっぱるな!!これ以上は付き合いきれん。」
「ティエリア〜〜〜行かないでくれぇえぇぇ」

このままだともう一生口きいてくれなくなっちゃうよ!!
泣き付く僕をげしげしと足蹴にするティエリア。
僕は離さないぞ!!

「……これが、DV……」

違うよ刹那!!
僕はマイスターのために、世界平和のために足蹴にされているんだ!!
これが、世界の悪意なのか……!!

「貴様!いい加減にしろ!何故そんなに纏わり付く!!」
「僕は――」
「ちょっと、何の騒ぎ?」

「ティエリアのことをもっとよく知りたいんだ!!!」



二度目の、沈黙だ……。

何故か5人に増えてるこの空気。
目をそらしたままの刹那と、いつの間にか蘇生していたロックオン、騒動を聞き付けてやってきたスメラギさんに、
僕が腰に抱きついている、ほぼカーディガンを脱がされてしまった状態のティエリア。
ティエリアの顔色は真っ赤になって、そして真っ青になった。


「悪いが、俺にはそういう趣味はない」



嗚呼、世界の悪意が見えるようだよ
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