第一部:啓いた光

□第十六話
1ページ/4ページ




その日は、稀に見る大きな月。

空は澄み渡り、月明かりが影をつくる。









月明かりに影がある。



そこには男が立つ。



派手な女物の着物に左目には包帯。腰には刀があった。男はキセルを口にくわえる。







「………最近は、獣がよく鳴く」











男は連日、人を斬った。血吹雪が男に降り注ぎ、男の身体に付着する。それを拭いもせず、男は踵を反す。
















次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ