第一部:啓いた光
□第十六話
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男は、己の中の獣の呻きが静かになることを感じた。
…何故だ。自分の中の獣は、今だかつてない程、鎮まっていた。
呻きが止んだわけではないが。
この、異も知れぬ感情ー。
ある男がいなくなってから、己の中の獣はうごめき暴れ狂う。それを止めることもないまま、行為を繰り返す。
なのに、何故?
沢山の人間を斬っても、酒に溺れても、女を抱いてもー
獣の呻きは鎮まることはなかったはずだ
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