第二部:東の月の夜
□第三十一話
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手紙の内容は、海棠南率いる十数名は高杉一派から離れること。
対峙することになること。
何より高杉が気に食わなかったことは、海棠自身が自分を殺るつもりでいるから気をつけろという予告めいたことを告げていたからだった。
勿論、簡単に殺れることなど有り得ないが、無惨に殺戮をした人間の挑戦状とも取れるやり方に面白くないことこの上なかった。
手紙を火に焼べ、灰と化す。
高杉は船際から海を見る。
見事な満月が、海面に映り幻想的な光景。それを見てくつくつと笑う。
部下一同は遠目から、そんな高杉を見ていた。
誰一人高杉の考えを読み取ることはかなわなかった。
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