日和部屋

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多忙な一日がようやく終わり、自宅に帰った小野妹子は夕食を済ませた後、風呂に入ろうと浴室に向かった。

「疲れた…」

服を脱いで湯槽に浸かると一日の疲れがどっと押し寄せてきて、自然と目蓋が重くなってくる。
寝てはいけないと思ってはいるのだが、本格的に睡魔が襲ってきて妹子は目を閉じた。

暫くして、ふいに身体が引っ張り上げられるような感覚がした。
目を開けると、馴染み深い人物が目の前にいた。

「太、子…?」

心配そうに妹子を覗き込んでいたその人の名を呼ぶと、心底安心したように妹子に抱きついてきた。

「よかったー!妹子生きてる!」

青のジャージを着ている青年、聖徳太子は妹子を絞め殺さんばかりの勢いで抱き締める。

「イダダダダダ!!何しやがんだこの馬鹿男!!」
「パリコレ!!」

力任せに上司を殴ると、太子は奇妙な叫び声を上げて吹っ飛ぶ。

「い、芋のくせに摂政を殴るとは…っ」

殴られた太子は頬を押さえて妹子を恨めしそうに睨んだ。
はっと我に返った妹子は、自分が入浴中だった事にようやく気付いた。

「っていうか太子!どっから入ってきたんですか!?」

妹子は傍にあった手ぬぐいを腰に巻きながら太子に聞いた。

「鍵が開いてたから玄関から入った」
「だからって勝手に人ん家に入っていいって理由にはならないでしょ!?」

悪びれるワケでもなく、言ってのけた太子に妹子はつい声を荒げた。

「…から」
「え?」

少し俯いた太子の声が聞こえづらくて、妹子は先を促す。

「妹子の事が…心配だったから…」
「太子…?」
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