日和部屋
□黒の感情
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それは自分でも愚かだと思うような嫉妬からだった。貴方が僕を差し置いて他の奴と楽し気に話なんてするから…。
ようやく別れて宿へと戻る途中もそいつの話ばかりしていて、僕は嫉妬で気が狂いそうだった。
部屋に着いた途端、僕は衝動にまかせて芭蕉さんを押し倒した。
いつものように怯えたように僕を見上げる芭蕉さん。
何故…何故そんな目で僕を見る!?
僕は何も悪くない…僕はただ…。
気が付くと僕は力任せに芭蕉さんを殴っていた。
「い…っ!!」
口が切れたのか、芭蕉さんの口端から鮮血が伝う。
嗚呼、どうして僕はこんなに不器用なんだ…。
それ故に貴方を傷付けてしまう。
貴方のせいだ…貴方が僕をこうさせた。