日和部屋

□月夜の路地裏
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夜。曽良は芭蕉と街を散歩しに来ていた。

「…何だか、寒くなってきたね…もう冬かな」
「…みたいですね」

人気の無い夜道を二人並んで歩く。

「…?」
「ぁ…っごめん…」

隣を歩く曽良の手と自分の手が軽くぶつかり、芭蕉は赤面しながら謝った。

「あの…手、繋いじゃ…駄目かな?」
「いいですよ、ほら」

怖ず怖ずと芭蕉が尋ね、曽良が手を差し伸べると芭蕉は嬉しそうに手を繋いだ。

「えへへ…ありがとう」
「いえ…」

手を繋ぎながら一通り街を散策した二人は、宿に戻ろうともと来た道を歩きだす。

「ぁれ…?」
「どうしました?」
「あの路地裏で何か光ったような気がするんだ…もしかしてお宝かも!」
「ちょ…っ!芭蕉さん…」

はしゃぐ芭蕉は曽良と手を繋いだまま路地裏に走っていく。
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