第二書庫

□たった一言の、
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柔らかな日差しが、
綱吉の寝顔を照らす
穏やかな朝、

彼は小鳥の囀りで目を覚ますと
何かが気になるのだろうか、キョトリと寝室のドアを見つめた


「なんで、ベッドで寝てたんだろ」

昨日は確か、と昨夜の記憶を思い出そうとする綱吉

「山みたいな書類があって、それが終らなくてひたすらやってて…」

寝起きでぼーっとする頭をフル回転させて記憶をほじくり返すが全く思い出せない


「とりあえず起きないと」

彼が帰ってきたときには終わらせておかないと二人だけの時間がつくれない

「リボーン、」

愛しい彼の名を呼んでからちらりとカレンダーの日にちを確かめる

今回は二つの仕事をやってくることになっているから、彼はもう三日はおそらく帰ってこないだろう

「…はぁ」

彼にまだ会えないかと思うと自然とため息が出る
綱吉は自嘲気味に笑って寝巻からスーツに着替えた




執務室に移動して、いざ書類整理に取り掛かろうとするとそこにはありえない光景が広がっていた

「なんで、書類整理終わってる!」

綺麗さっぱり紙一枚もない机の上
昨夜はまだ山だったのに
綱吉は机の上をジッと見つめてから腕を組み、こてんと首を傾げた


「おかしい、絶対終わってなかった」

うーん、と唸ってもどうにもならないので、事情を知っているであろう獄寺を待つことにした







「書類なら、昨夜10代目が終わらせましたよ
俺が取りに来ましたから」

「そう、」

愛しい綱吉を起こしに、急いで来たのだろうか
やや呼吸が乱れがちな獄寺は少し残念そうに答えた

「じゃあ、今日の予定を確認しようか」

「はい、えーと、あれ?」

とりあえず書類の事は保留にして今日やることをやろうと、予定を確認しようとすれば

「なんもないですね」

「え」

「予定が入ってないので緊急の用がない限り、お休みして構いません」

出来れば俺もご一緒したかった、と悔しそうに獄寺が呟く

「わかった、下がっていいよ」

綱吉は獄寺の呟きが聞こえなかったのか、聞こえていたのにわざと聞こえない振りをしたのか分からないが、獄寺をあっさりと下げるとソファーに座った

「まさかリボーンが、
いや…でも、」

どこかひっかかる、とまだ考え続ける綱吉
彼には暖かい日の光が降り注ぐ
日頃の疲れが溜まっている綱吉にとってはそれがとても心地好く、眠気を誘う


「まぁ、いいか」

誰かからのご褒美だろうと解釈して綱吉は瞼を閉じた






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