第二書庫

□格差なんてしりません
1ページ/1ページ


それはポカポカの秋晴れ日和の、日本の某県のとある農村で事件は起こった



「あぁ、今年は豊作だなぁ、いい米が出来た」

黄金色の稲の様子を確かめながらにこにこと笑う青年

「やっぱ肥料と水がいいからかなぁ」

うふふ、と嬉しそうに笑って暫く稲を見つめていると後ろから突然声をかけられた

「すみません、お尋ねしたいことがあるのですが」

「はい?なんでしょ…」


声のしたほうを振り返ると、回りが稲だらけの中に一人のこれはまた美しい男性が黒のスーツを着こなして立っていた
漆黒の瞳に黒い髪、8頭身はあるだろう身長に青年は別の意味で目を大きくした


「……り、リボーン!?」

「フン、気付くのが遅いんだよ」


にやりと口元を歪め、リボーンは青年の腕をグイと引っ張って無理矢理立たせた


「日本全国何処探してもいやしねぇ、漸く見つけてみりゃこんな農村に居やがって」



「なんで探すんだよ!!」

「生涯の伴侶をそうやすやすと諦める俺様じゃないからな」

「…全部水の泡になっちゃうじゃんか…」


リボーンという男の腕をべしべし叩くのは綱吉という青年で只今農業やってますという農家の家に産まれた人間で
リボーンはそんな農家には全く関係無い、世界で知らぬ者はいないほど有名な大企業の社長だ


「俺みたいな、農家の人間はお前みたいなエリート人間には釣り合わないって二年前に言ったはずだろ!!」

「まだんなこと言ってんのかツナ」

綱吉は叩くのを止めてリボーンを見上げる
リボーンは不機嫌なのか眉間に皺が寄っている

「言ったはずだよ、別れるときに、あれだけ」

「さぁな、覚えてねぇ」

「リボーン!!」


言い合う二人の間を暖かい風が通り抜けていく


「リボーンと俺のいる世界は違うから、俺みたいな農家の奴じゃなくてもっと上の素敵な人と…」

「それ以上言うと口塞ぐぞ」


いつになく怒っているリボーンに、綱吉は口を閉じる


「お前はもう少し自分に自信を持ってもいいと思うぞ」

「………」


リボーンは綱吉のフワフワした髪を優しく撫でてその細い体を抱きしめる


「ツナみたいな天然記念物はそういねぇ」

「何それ!?」

「この俺様を骨抜きになるくらい惚れさせた奴は世界にお前一人だけだ、自信持て」


綱吉の髪に唇を落とす

「……でも、リボーン、社長だし…」

「その事だがな」


リボーンは体を離して綱吉の両頬をそっと手で挟んで、じっと琥珀色の瞳を見つめる


「社長は辞めた」

「………は?」

「イタリアでフラフラしてた兄貴に押し付けて来た」


口をポカーンと開けて呆然とする綱吉に苦笑し、リボーンはその綱吉の下唇を食むようにキスをした


「お前と一緒に生きたい、綱吉」

「リボーン…」

「そのためなら社長や会社なんざいらねぇ、
お前さえいればそれでいい」


優しい微笑みと共に言われた言葉に、綺麗な雫が綱吉の目から溢れてこぼれ落ちる


「愛してるぞ」

「っ、俺もだよ」


そう応え、リボーンに向けられたのは綱吉の柔らかくも美しい笑顔だった




おわり


■おまけ■


「ということで、だ」
「ん?」
「今日から俺も農家になる」
「……ぷふっ、農作業着を着たリボーンとか想像すると笑えるっ…」
「それは実際に見てみないと笑えるかわかんねぇだろ?」
バサッ
↑スーツを脱いだ音


「っ、酷い!!
何着てもかっこいいだなんて…」
「良かったなツナ
かっこいい旦那様が作業着を着て稲刈りしてやるぞ」
「うん、頼むよ旦那さま」
「…………」
「リボーン?」
「………(天然タラシが…)」




今度こそおしまい!!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ