リク用

□いっつまいん!
1ページ/1ページ



闇夜を駆ける一人の男は背後から聞こえてくる複数の足音に舌打ちをすると、近くの細い道に入り、さらに奥に進んでいく。
「俺が何をしたっていうんだ、今日だっていつも通り仕事をしていただけなのに」

足音はどうやら別の方向に向かったようで、男は壁に手をついて息を整える。
深く息をつくと、ガチャリと不気味な音がした。

「不幸な奴だ。仕事の対象がいけなかったな」

「なっ、」

「さて、それを渡してもらおうか、渡せば命だけは助けてやる」

銃口を向けてくる男は手をだして近寄ってくる。
「…これに、それほどの価値があるのか」
「あぁ、てめぇみたいなヤローが持っているには勿体ねぇ」

すると逃げていた男がスーツの内側に手を入れたのを見て、銃を持つ男はニヤリと笑った。










「ってなわけで取り返してきたぞ、ツナ」

「いろいろとツッコミたいとこだけど、とりあえずご苦労様」

男が壊れ物を扱うかのように渡してきたそれを見て、ツナこと綱吉は複雑な顔で一つため息をついた。
綱吉の気持ちになって言わせてもらえば、そのため息は決して安堵のそれなどではない。

「こんなのが出回ったら大変だからね」

「確かに、世の男どもがどうにかして手に入れようとする代物だからな、それほど貴重で、危険だ」

「…持ち主の俺から言わせてもらえば、これのどこにそんな価値があるのかわからないよ、リボーン」

黒いスーツを身に纏う目の前の男はリボーンと呼ばれ、この世界で知らぬ者はいないほど有名な殺し屋で、彼いわく綱吉の将来の夫である。

「俺だったら、それに一億だして手に入れてもいいくらいだ」

「わけわかんねー…ただの布じゃん」

「いいやツナの使ったパンツだ」

「………」
そう、リボーンが取り戻してきたのは、綱吉が普段使っているパンツ様なのだ。
噂によるとそれはとある裏オークションで一番高く取引されるらしい。
「…俺にはマニアの気持ちがわからない。
ふつうは、人が使ったパンツなんて…」
「大好物だ」
「知ってるよ。俺はお前が変人だと認識してるからね」

綱吉は自分のパンツを適当に放り投げてごみ箱に捨てるとリボーンを睨み、残念そうな顔をしている額に万年筆の先をプスリと刺した。

「ききたいんだけど」

「なんだ」

「…リボーンは、俺自身じゃなくて俺が使った道具にしか興味ないわけ?」

リボーンは万年筆を掴んでいる綱吉の手の上から手を重ねて、

「何言ってんだ、
お前が使うことにこそ価値がある、
お前が使ったから嬉しいんだよ」

突き刺さった万年筆を引き抜き、リボーンは目線を合わせ、綱吉を愛しそうに見つめた。

そんなリボーンにどうしたらいいのかわからず頭を抱えることになる綱吉であった。





おわり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ