夏海連載

□彼女と猫と、それから私
1ページ/6ページ

 

 真田くんは分かりやすい方だ。

 私の隣の席に座っている武藤天利さんに好意を寄せている。


 最近になってからというもの、柳くんも面白半分といいましょうか、私やテニス部のマネージャー羽柴サクラさんに「武藤について」と聞いて来るようになり……


 最近では真田くん以上に武藤さんに近付き、直接質問している姿をよく見かけます。

 隣同士ですと、必然的に柳くんが来たかどうかも分かるので。


 私も武藤さんに対し、恋愛感情はないものの、やはり今まで関わって来た同い年の女性とは違い、とても個性的な人格の持ち主かと見受けます。


 大半の女子の方とは違い、媚びる事も無く、逆に毛嫌いしている訳でも無い。

 今のところ、テニス部の誰かと関わりたいという発言もなければ、興味がないというそぶりでもない。

 柳くんのようにいきなり飛び込みで話し掛ける方に対し、友達と同じ態度で接している。


 それについて少し聞いた事がありました。

 武藤さんは、少し困惑していましたが、作り笑いと共に答えを私に告げました。


「私って見た目で判断しがちだから、なるべく女子も男子も同じように接するように気をつけてるんだ」


 それから武藤さんは私が貸した文庫本を開き、読み耽る。
 
 
 しかし、武藤さんは大人びいている時と、子供のように羽目を外す時とがあります。


 幸村くんのお見舞いに来た武藤さんは友達とふざけ合い、小学生が休み時間を楽しむかのような姿。

 やはり同級生なのだと改めて目の当たりにした瞬間でした。



 真田くんが何故武藤さんを好きなのか、多少分かるような気がします。

 真田くんにはない物を沢山持っている武藤さん。
 それに真田くんは憧れているのかもしれませんね。


 あくまでも私の憶測ですが。


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ