夏海連載
□彼女と猫と、それから私
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真田くんは分かりやすい方だ。
私の隣の席に座っている武藤天利さんに好意を寄せている。
最近になってからというもの、柳くんも面白半分といいましょうか、私やテニス部のマネージャー羽柴サクラさんに「武藤について」と聞いて来るようになり……
最近では真田くん以上に武藤さんに近付き、直接質問している姿をよく見かけます。
隣同士ですと、必然的に柳くんが来たかどうかも分かるので。
私も武藤さんに対し、恋愛感情はないものの、やはり今まで関わって来た同い年の女性とは違い、とても個性的な人格の持ち主かと見受けます。
大半の女子の方とは違い、媚びる事も無く、逆に毛嫌いしている訳でも無い。
今のところ、テニス部の誰かと関わりたいという発言もなければ、興味がないというそぶりでもない。
柳くんのようにいきなり飛び込みで話し掛ける方に対し、友達と同じ態度で接している。
それについて少し聞いた事がありました。
武藤さんは、少し困惑していましたが、作り笑いと共に答えを私に告げました。
「私って見た目で判断しがちだから、なるべく女子も男子も同じように接するように気をつけてるんだ」
それから武藤さんは私が貸した文庫本を開き、読み耽る。
しかし、武藤さんは大人びいている時と、子供のように羽目を外す時とがあります。
幸村くんのお見舞いに来た武藤さんは友達とふざけ合い、小学生が休み時間を楽しむかのような姿。
やはり同級生なのだと改めて目の当たりにした瞬間でした。
真田くんが何故武藤さんを好きなのか、多少分かるような気がします。
真田くんにはない物を沢山持っている武藤さん。
それに真田くんは憧れているのかもしれませんね。
あくまでも私の憶測ですが。