お昼寝日和

□ΩEXAMINATION
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遠藤やクラスメイト達と一言二言言葉を交わすと、学校を出て寮に続く道をとぼとぼと歩く。いつもなら学生会室に走っていくところだが、あんな事を言われてしまった後では行き辛い。確かに試験が近くなっているのは事実だし、初日に苦手な英語がきてしまった事は、正直落ち込んでいる。だからといって、丹羽といられないのはやはり辛かった。
啓太は部屋に戻ると、とりあえず授業の後に渡された課題を取り出す。ぼんやりとしていた所為で、海野に怒られ、課題のプリントを渡されてしまったのだ。
教科書を見ながらなんとか課題を終え、嫌々ながら英語の教科書を取り出す。文法を覚えるより先に正しく単語を覚えろ、と皆に注意される。小テストの時ですら、たった一つのアルファベットを間違えただけで点数を稼げない。
テスト範囲の単語をとりあえず覚えようと、啓太はひたすらノートに単語を書き始めた。
ノックが聞こえたのは二ページ目のノートが埋まろうとしていた時だった。はい、と言って振り返ると、遠藤が顔を覗かせた。
「和希?どうしたんだ?」
啓太が言うと、遠藤は苦笑し、
「いつまで経っても食堂に来ないから、どうしたのかと思ってさ。一緒に食おうって言ったの、啓太だぜ?」
と言って部屋に入ってくる。そして啓太が英語の教科書を開いているのを見ると、
「邪魔したか?」
と言って困った様に笑った。啓太は首を振るとノートを閉じ、
「いや、今日はもう止める。行こう、和希」
と言って、遠藤を促して部屋を出た。
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