お昼寝日和

□ΩEXAMINATION
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試験初日。必死に単語を頭に叩き込んだものの、やはり不安は消えずに啓太は山を張っていた。今回の試験でも啓太の運の強さは負けずに、山は見事に当たっていた。
「終わった〜…」
机に突っ伏して啓太が言うと、
「大丈夫か、伊藤。まだ初日だぜ?」
と言って前に座っているクラスメイトが振り返る。
「もう燃え尽きたよ…。明日は歴史と数学だっけ?」
荷物を鞄に詰めながら啓太が言うと、
「あぁ。伊藤、確か歴史は得意だったよな?」
と言って、今度は後ろの席の友人が声を掛けて来る。うん、一応、と答えながら、学生会室に行ってみようか、と考える。とりあえず苦手な英語は終わった。この一週間、学生会室には行っていなかったので、勉強する時間は充分にあった。和希や友人達の力を借りて、要点をまとめたノートもある。試験の前にもう一度確認すれば、あとは祈るだけだ。
「なぁ、伊藤。山張ってくれよ、山。俺、歴史苦手なんだよ」
二人の友人に言われ、啓太は苦笑する。要点をまとめて叩き込んだノートを取り出し、この辺とこの辺、と言ってノートを差し出す。ちょっと貸してくれ、と言ってノートを写し始める友人の姿を眺めながら、啓太は再び考え込む。忙しい時期ではない、と中嶋が言っていた。それでも丹羽のコトを考えると、やはり書類は山積みなんだろうか、と思い、行ってみたいという欲求に駆られる。だからと言って、試験中の今行っては、やはり心配させるだけだろうか、と思い、啓太は溜息を漏らした。
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