妄想小部屋

□冬の一日
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「くらいやがれ!!俺様剛速球!!!!」
雄叫びを上げたナインが勢いよく雪玉を投げ、ジャックとケイトは悲鳴を上げて逃げ惑う。
「おらおらおらおらぁっ!!!!」
足元に積み上げた雪玉を次から次へと投げるナインと、傍らでせっせと雪玉を作るシンクとトレイの姿。
夜の早い時間から降り続いた雪は見慣れた景色を銀世界へと変えており、皆は朝からびしょ濡れになって遊んでいた。
「狡いよ〜、ナイン〜」
雪玉の乱れ撃ちに遭ったジャックが叫ぶと、ナインは、
「なぁにが狡いんだよ?そっちはお前にエイトにケイトにクイーンにデュース。こっちは俺とシンクとトレイだぜ?人数的にはお前等の方が有利じゃねぇか」
と言って雪玉を弄ぶ。
「エイトとクイーンとデュースはそっちで見てるだけじゃん!!」
ケイトが叫んで指差した先には、三人が階段に座り込んでおり、クイーンは、
「ナインの相手なんかしたら、びしょ濡れになるに決まってます」
と言って、既にびしょ濡れにされたエイトを見る。
「…ナインの命中率を甘く見てた…」
エイトが小さく呟くと、デュースは、
「大丈夫ですか?エイトさん」
と言って苦笑気味に問い掛ける。
「…着替えてリベンジだ!!」
そう叫んだエイトがばたばたと家に駆け込んで行き、クイーンは、
「今日の洗濯物が…」
と溜息混じりに呟いた。
「きゃあ〜!!」
「ナイン、ストップ〜!!!!」
ナインが抱えた雪玉をジャックとケイトに投げ始め、ケイトとジャックが悲鳴を上げると、クイーンは、
「ナイン、止めなさい!!」
と呆れた様に声を上げた。
「ヨユーだぜ」
ナインが笑みを浮かべて言うと、何処からか木の板を運んで来たキングが二人の前に板を立てかけ、
「これで少しはマシだろ」
と呟いた。
「さっすがキング〜!!」
ジャックとケイトが嬉しそうに叫ぶと、ナインは、
「キング、お前もこっちきて手伝え!!」
と叫んだ。
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