神田

□眺め続けた背中の温度
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飲みすぎた。

乗せられて参加したジェリーさんとの飲み比べ対決。勝利したのは良かったけれど、これはほろ酔いを少し超えてる。

おかげでかなりの千鳥足。歩く振動でよけいに気分が悪い。

長い廊下の途中で少しうずくまる。休憩しないと部屋まで持たないわ…あぁ、気持ち悪…


「おい」

声をかけられて顔を上げると、居るはずのない人。

「神田、何してんの?」
「気分悪いのか?」
「任務は?」
「酔ってんのか」

会話成立してないじゃん。

「立てるか?」

膝を着いて顔をのぞき込む神田の表情が少し優しくて。キレイだなぁ…やっぱりこの顔


「すき」


あ、れ?私いま何言った?


「う、うそうそ!今のナシ」

やばいやばいやばい!神田固まってる!変なタイミングで口から言葉漏れちゃった!

「は?」

今の"すき"は顔が好きって意味であって、別に告白的なモノじゃないっていうか、いや神田のことは好きなんだけどっ、あ゙ぁもう


「ごめんなさいすいませんもうしません!」

とりあえず全力で謝ってみる。


「今の、うそなのかよ」

返された言葉が意外なもので、驚いて顔を上げると

「嬉しかったのに」

照れた神田がいた。


「あの神田、意味がよく…」
「…わかんねえならいい」

本当はちゃんと神田の言葉で説明してほしかったけれど、くるりと背を向けて歩き出した彼の少しだけ見えた耳が真っ赤だったから、

「神田!」
「うぉっ!?」

背中に思いっきり抱きついた。




眺め続けた背中の温度
それはとても温かくて

(ねえ、どういう意味?)
(…うるせぇ!)




企画サイト「I WISH」様提出作品。切ないラビ夢を考えていたけれど、やっぱりハッピーエンドの方が読んでいて楽しいかなと思い、こうなりました!
I WISH様ありがとうございました!


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