NARUTO
□帰り道
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帰り道
バーを出た俺と彼女の隙間を冷たい夜風が吹きぬけた。
まるでこの微妙な距離をあざ笑うかのように思えた冷たさが
逆にこんなあったかさを運んでくれるとは思わなかった。
「うぁー!もうこんなに寒い季節になっちゃったんスね」
「ついこないだまであんなに暑かったのにねー!」
肩をすくめて頬を両手で包み込む仕草がなんとも愛らしい。
思わずにやけそうになる口元を慌てて引き締めて、
俺は車道側を彼女の歩幅に合わせて歩き出した。
駅までの道、夜風が吹きつけるたびに寒い寒いと言い合いつつ
それでも身を縮める彼女を温めることもできない微妙な関係。
歯がゆさともどかしさがやけに俺の心を擽ってまともに彼女の顔を見れない。