創作

□見た目は大人 頭脳は子供
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ベッドのふちに座っている
あまり遠くない所から聞こえるシャワーの音

好きだけど嫌いだ
嫌なことを忘れさせてくれるけど
真実を避けていることにも気付かされる

やがてシャワーの音が止まりテクテクと歩いてくる人は私の右に座る

「お前が一番やで・・・」

嘘だということぐらい分かってる
でもこの人は結婚している訳でもないし
好きな人にそんなこと言われたら信じたくなるでしょう
単純なんだろう
諦めがつかない
バカだから いつも分かってるつもり

「って、言えたらええのに。」
『え・・・。』

つい口に出してしまった
正直なこの人に嘘がつききれる訳がない
分かっていたのに 分かってるつもり
傷付くってことは少しは期待してたんだ

「ごめん。」

そんな会話の後でもこの人は優しい
悪い人だ
嘘も付けないくせに一番でない女を抱ける
ほら、また
こんなことを考えても勝手に期待して
勝手に傷つくだけなのに
ベッドの上に私をゆっくり押し倒してキスをする
彼女には何度もやったんだろう
意外と慣れた手つき
欲望を満たすだけの行為
もうやめればいいのに
やめられないのは
この人が彼女と別れたらとか考えてしまうから
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