ちょっとした毒とちょっとしたコラム

□”借りぐらしのアリエッティ”感想
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さてさて、見てまいりましたよアリエッティ。
前作のポニョがなかなかよかったなーと思っていたので、今回も見に行こうとは思っていたんですが、なんにしろこれを書いている今、就職活動真っ最中なのよね…だもんで、時間をとるのがちょっと大変でした。

舞台は田舎の一軒家、洋風な感じのおうちで、その家の床下にアリエッティとその両親の3人で暮らしている、という設定のようです。
最初CMなんかで見たときは、中世ヨーロッパの妖精”ダンティエンヌ”に近いのかと思っていましたが、大きさだの生活構成なんかを見るにどうやら違うみたい。ダンティエンヌは香水のビンの中で泳げるほど小さいらしいのですが、アリエッティたちはもう少し大きい感じです。ダンティエンヌと違う点は他にもたくさんあり、たとえば床下とはいえきちんとした家を作っているところとか、必要なものを必要な分だけ”借りて”生活し、人間の目に自分たちの痕跡すら残さないようにしている、とか。
ダンティエンヌっていうのは洋服ダンスなんかの奥に住んでいて、夜になると出てきて人間の持ち物である化粧品だとかで遊びまわり、人間が起きてくるころになると散らかしたまま逃げてしまう妖精なんだそうです。
もしかしたらこのダンティエンヌがモデルなのかもしれないんですが、その辺は原作を読んでみないとなんとも。

物語の冒頭で、神木君演じる”ショウ”にいきなり姿を見られてしまうアリエッティですが、これはショウの目がいいのか、アリエッティが少しドジをしたと見るべきなのかどちらなんでしょう。どうやらこの家に住んでいるのは老婦人と家政婦さんだけらしいので、前者の可能性も大いにありそう。
余談ですが、このときアリエッティが滑り降りた草、私は最初コリウスだと思ったんだけど、後ほど出てくるお母さんの言葉から赤シソとわかり、妙に納得しました。なるほど、お母さんへのプレゼントなのか。ローリエの葉っぱとこの赤シソの葉っぱをお母さんのために取ってきたということらしいです。
もう一本持っていた花はたぶんシソの花なんでしょうね。アリエッティの部屋って結構植物が飾ってあるようなので、これもまた、お部屋に飾るためにとってきたんだろうな。

アリエッティたちの尺度に合わせてあるからか、小人の家の中では液体のビジュアルがなんだか素敵。
おそらくは水道管からつないであるであろう水汲み場のパイプから滴るお水とか、物語の中で何度も出てきたハーブティーやスープとか、とにかくすべての液体が表面張力の働きでしょうか、妙に丸みを帯びて描かれていて、なんともリアルです。最初お母さんがハーブティーを注ぐ場面を見たときは「何だろう、この妙にとろみを帯びてるの」って思ったんですけど、水汲み場を見てまず納得。ああいう演出だったわけね。最後のほうにはあのポットの中身がハーブティーだったと発覚しますし。
…というか、今思えば最近のジブリ映画ってああいうビジュアルで液体描いてることが多い気がしてきた。ハウルあたりからあんな感じだったような。

そうそう、今回の映画の監督さんは地元出身だそうで。
本当は見に行った日の夜の舞台挨拶が気になったのですが、結局いけませんでした。いろんな秘話とか聞きたかったなあ。
テレビで少しだけ聞いた話なんですが、監督さんは大の虫嫌いなんだそうです。
なので、今回の映画には結構大きい昆虫(小人の尺度に合わせるとたとえば団子虫なんかはは手まりサイズになるようです)がたくさん出てくるんだけど、あまりに虫が苦手なので、アニメ風にデフォルメした昆虫をたくさん描くことにしたんだとか。それでもゴキブリの不気味さは変わりませんでしたが(笑)

続く→
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