短編小説

□逃げるなよ
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「いやー、カミやん助かったよ」
「この状況は全然助かってないだろ!むしろ苦しいぞ!」
「いやー標的が増えたかんじで?2分の1じゃん?」
「とばっちりだー!」
不幸だー!!と叫ぶ上条当麻とその友達は学園都市を不良達から逃げるため全力で走っていた。


「そもそも、なんであんなやつらに追われてるんだ?」
2人はビルの影にあるドラム缶の裏で息を潜めていた。そのすぐ脇を不良の団体さんがうぉー!やら、ちょえー!と叫びながら通り過ぎていった。2人ははぁ〜と安堵の息をついた。
「女の子が絡まれてたから助けようと思って」
はは、と友達は疲れた笑みをみせた。
「お前も大概お人よ…」
上条は途中で言葉を止めた。なぜなら自分にも過去同じ様な覚えがあったからだ。記憶はないが体験したからこそ解る知恵があった。上条はひきつった笑みを浮かべ友達の背を叩き、お互い大変だなーハハハはと意味不明なことを言った。
「で、助けてやったのはどんなやつだったんだよ?」
ソイツにもよるなーと上条は言った。
「顔は見てないなぁー。でも常盤台だったよ」
友達はゆっくり立ち上がり辺りを見回した。
「よし、もういないみたいだ!」
「助かったぜー」
「あそこでカミやんが来てくれなかったらおれ、今頃ボコボコだったよ」
「最近学園都市中走り回ってるからなぁ、自然と地理にも詳しくなるさ」
上条は辛い経験を思い出し明後日の方向を見た。
「カミやん…、いつも不良と追いかけっこしてんの?」
「そーゆうわけじゃないけどな」
苦笑する上条の脳裏には、赤髪神父やら運び屋女やら神の右席やらが頭に浮かんだがフルフルと横に振り嫌なイメージを追いやった。「帰ろーぜ」
そう上条が言って前を向くと、
「げっ、でた」
そこには学園都市最強“超電磁砲(レールガン)”の異名をもつ御坂美琴が立っていた。彼女は真っ直ぐ友達を見つめていた。
「あんた!」
「はい?」
「さっきは余計なことしてくれたわね!」
「???」
彼女の体からはビチビチと高圧電流がほとばしっていた。危険だ!上条はそう判断した。
「君はさっきの?大丈夫だった?怪我とかない?」
危機感0だ!ヤバい!と思い友達の腕を掴み全力で駆け出した。
「おい、何で逃げるわけ?」
俺に腕を捕まれているため仕方なく走らざるを得ない友達は不平を言った。後ろでは怪物が待ちやがれコンチクショーとか吠えている。
「あいつは御坂美琴つって、超能力者だぞ!」
「すっげー!でも、もしかして襲われてる?」
「そうだ、しかもさっき助けてた常盤台の生徒ってのは多分あいつで、やつはプライドが高いからそーゆうのが嫌いでってぎゃはー!」
早口でそこまで言いのけた上条の足下に電撃の槍が突き刺さった。後ろを見ると御坂が走りながらたくさんの槍を放ってくるのが見えた。
「死にたくなけりゃ全力て走れー!」
上条は涙ながらに叫んだ。
「え?なんで?こうすりゃいいじゃん」
そう友達が言うと上条の体を盾にし振り向いて右手を掴み前に突きだした。
「おいぃぃぃィい!!」
電撃の槍は上条の右手にあたりすべて消え去った。
「てめえ、殺すきか!!」
「いいじゃん生きてたし」
「やっと追いついた!あんたら覚悟しなさい!」


「ああ、前にもあったようなこの展開…」
「たのしい人生してんな、カミやんは」
「誰のせいだ!」
「正々堂々勝負よ!」
「だってよカミやん」
「俺死にたくねーよ、パス」
「残念だったね、御坂さん」
「あんたよ!茶髪!」
「低能力者が超能力者にはかてませんよ」
「御坂いい加減にしろよ」
「先に喧嘩売ってきたのあんたらじゃない!」
「おれ助けたつもりだったのになあ?」
「もういい!!逃げるぞ!」
「カミやん、そんなんでいいの?」
「なりふりかまってられるか!命が大事だ!」
「あ!待ちなさい!」


これが上条当麻の日常。




平穏な日々



(茶髪の名前聞きそびれたじゃない!!)









(日常?平穏?)




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