親世代
□Home
1ページ/13ページ
揺れる列車のとあるコンパートメントの中に、3人の少年と1人の少女がいた。
「きみは、スリザリンに入ったほうがいい」
一人の少年が、向かいの席に座る少女に言った。少女は首を傾げる。
「スリザリンになんか誰が入るか!むしろ退学するよ、そうだろう?」
少女が答えるよりも先に、別の少年がそれに反論した。そして、もう一人の少年に話を振る。
「僕の家族は、全員スリザリンだった」
「驚いたなあ。だって、きみはまともに見えると思っていたのに!」
「たぶん、僕が伝統を破るだろう」
声をかけられた少年はニヤリと笑った。
「きみは、選べるとしたらどこに行く?」
「『グリフィンドール、勇気ある者が住まう寮!』僕の父さんのように」
グリフィンドールを望む少年は、見えない剣を捧げ持つ格好をして、そう高らかに言った。
少女にスリザリンを勧めた少年は、小さくフンと言った。
「文句があるのか?」
「いや。きみが、頭脳派より肉体派がいいならね」
「きみはどこに行きたいんだ?どっちでもないようだけど」
嘲笑いながらそう返した少年。
反撃をする別の少年。
大笑いする、グリフィンドールを望む少年。
そして、少女は怒りで顔を赤くした。
「セブルス、行きましょう。別なコンパートメントに」
大嫌いという顔で、笑っている2人の少年を交互に見て、笑われている少年を連れて立ち上がる。
「まーたな、スニベルス!」
笑っていた少年がそう呼び掛ける声を最後に、コンパートメントの扉はパタンと閉まった。
こうして4人の少年少女は出会い、そして決別した。
その出会いが、決別が、後に起こる戦いに大きく影響を及ぼすことなんて、考えもつかないうちに。