□シュガー・ビート
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「見てください、ノクト。」


中庭に咲く花を見つめていた金糸の髪の少女が、ノクトと呼ばれた青年の方へふわりと振り返った。彼女の白く華奢な肌が視線を外すことを躊躇わせ、彼女の持つ柔らかい雰囲気が背景に咲く花達とぴったりだった。


「とっても綺麗に育ちましたね。出逢った頃はまだ小さな芽しか出ていなかったのに…。」


「ああ、そうだな。」


「…ふふ。」


「なんだ?」


目を細め、優しく笑みを浮かべる少女を不思議そうに見つめ、ノクトは首をかしげた。


「いえ…ただ、私達もこの花と同じだと思っただけです。」


「…?」


「お気づきですか?私達もこの花と一緒に、関係を築いてきたって。」


そこまで言われて、ノクトはようやく「あ。」と口を開けて笑った。そう言われてみれば、彼女をここにはじめて連れてきた時に今咲き誇っているこの花達はまだ小さな芽が出たばかりだった。しかし今はこうして色とりどりの花を咲かせている。そして自分と彼女の関係も、最初に出逢った頃よりも遥かに近い。


「花の命は短いですが…ノクトと私は…」


「…ずっと一緒だ。」


「…!」


「俺とステラの絆は、消えることは無い。たとえどんなことがあっても。」


「…ノクト…」


ノクトはステラの小さな手を取り、指を絡ませて手の甲にキスを落とす。真っ白なステラの肌が一気に薔薇のように紅く染まったので自然とノクトも、とんでも無く気障なことをしてしまった、と頬を染めた。ちらっとステラを見ると、頬は紅いがやんわりと、ノクトが大好きな笑顔だった。


「私も、貴方と同じ気持ちです、ノクト。」


はにかんで笑うステラを前に、ノクトは胸の奥がきゅうっと締め付けられる感覚に見舞われる。もしかすると、これが―。


「ステラは花が好きなんだな。」


「はい、大好きです。私の国にもたくさんの種類の花があって…。私、育てているんですよ。ノクトにも見てほしいです。」


「…ああ、絶対に見に行くよ。」


ノクトはそう言って微笑むと、今度は紅く瑞々しい唇に静かに口付けた。

―ノクトの胸の奥がまた、きゅうっと締め付けられたことをステラは知らない。


シュガー・ビート
(きっとこれが、【幸せ】だと思う気持ちなんだろう。)


●○●○●○●○●○
kara no kiss様よりお借りした御題でノクステ。なんか、シュガー・ビートっていうタイトルと内容があってないよね。。ええと、つまり!!ノクトが【幸せ】と感じたキモチがそれっていう…む、無理矢理?!笑

実際にプレイしてみないと二人の感じが結局つかめませんね。

ノクトの呼び方は、様を外してみました。花が好きだのうんぬんは妄想。

聖紫瑠




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