小説

□ドッジボール
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日曜日の暖かい昼下がり。
窓から降り注ぐ午後の陽を浴びて、銀時は大きな欠伸を落とした。

新八と神楽は、お妙の買い物に付き合い
万事屋には銀時一人だ。

一人の時間をどのように有意義に過ごそうか、と
銀時が様々な考えを巡らしていた時

万事屋に変わった客が訪れた。



銀「お客さん
悪いんだけど、万事屋っつっても、
子供の遊びに付き合うほど暇じゃあないよ」

銀時は向かいのソファーに座る突然の客を見て、溜め息混じりに言う。

「子供の遊びなんかじゃねぇぞ」


その客は、ずいぶん大人びた話し方をする小生意気な赤ん坊で
全身黒のスーツを着込み、帽子の上にカメレオンを乗せた
奇妙な格好をしている。


「俺はリボーン。今回は依頼があって来てんだ」

リボーンと名乗る赤ん坊は、肩に移動したカメレオンを然も愛しそう撫で上げる。

銀「依頼って?
言っとくけど、出すもん出して貰わないと、こっちも動けないよ」

銀時は鼻をほじると、小指についたゴミを息を吹き掛けてとばした。

普段、客の前でならもう少し礼儀を払う銀時だが、
せっかくの休日を邪魔されたということと
相手が幼すぎることで、
客とは認識していないようだ。

リボーンはそれを気にした様子もなく、
リボーンの要望で銀時が用意したインスタントコーヒーを
ズズッ啜ると
口端をつり上げて“にやり”と妖しく笑った。

リ「報酬は、これだけ払う」

リボーンは人差し指をピンとたてる。

銀「あん?千円?」
銀時の腑抜けた質問に、リボーンは得意気に言う。

リ「あと二桁だ」

銀「……………十万!?」

銀時の態度はうってかわり真剣な面持ちになる。

銀「依頼の内容は?」
リ「………。」
リボーンが口を開く。
その顔は、イタズラを思いついた小さな子供のような表情で
端から見れば微笑ましくもあるが、知る者にとっては恐怖を覚えるものだった。
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