小説

□S●W
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いなくなったランボとイーピンを捜すため、アジトを出た獄寺とツナ。
だが何者かに襲われ、人里離れた廃墟に拉致されてしまった。
パイプを跨ぎ鎖で繋がれた二人に、逃げ出すすべは奪われている。




『アジトの場所は何処だ』

コンクリートの壁に取り付けられたモニター。
そこに映る、背広を着て仮面をはめた人物は
先程から同じ質問を幾度も重ねてくる。

利暮蔵と名乗るこの男は、
今回の件の主犯であり、またミルフィオーレファミリーの者だという。


獄「ケッ、誰が言うかよ」

獄寺のお決まりの返事。
ずっとこのやり取りが続いていた。




利暮蔵がやれやれとため息を吐いた。

『口だけは達者に動くようだな。
だが、これを見てもまだそんな口がきけるかな』

そしてモニターに、違う画像が映る。

獄寺が息を飲んだ。
『このガキ共は君のお仲間だろう?』

安らかに眠る二人の子供。
ランボとイーピンだった。

ツ「ランボ!イーピン!!」

『死んではいない。
大事な人質だからな』

利暮蔵の声は、不気味なほど落ち着いていて
無感情なその声に、ツナは身震いした。


『さぁ、ボンゴレ10代目
アジトの居場所を教えてもらおうか』


言える筈がない。
今本部が襲撃に遭えば、守護者の皆、
京子やハル、
関係のない人をも巻き込むことになる。

だがここで黙っていれば
ランボやイーピン、自分たちの命もないだろう。

ツナの中で、様々な思いが交錯した。


『……答えないのは見捨てる、ということか』

利暮蔵の言葉が胸に突き刺さった。

ツナは覚悟を決めると
震える拳を握りしめ、利暮蔵を正面から見据えた。

ツ「お、れが……」

戦慄く唇を叱咤し、
気持ちを落ち着けるため、軽く深呼吸すると
次はハッキリと言った。

ツ「俺が代わりに、犠牲になる」
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