ハナノミツ

□アンタに会った日
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桜咲く四月の終わりごろ、そして午後二時ごろ、K大がその蔵書数を誇る図書館の目の前のベンチで時間割とにらめっこしている女がいた。花野蜜である。


大学のほうも落ち着いてきて、そろそろどれを履修するかの時期、蜜はどの授業をとるか蜜は悩んでいたのだ。


周りはもうとっくに決めているという中で蜜は専門科目に外国語…まだその大半を決めていなかったのだ。


(あー…ムカつく…何がムカつくかと言うと優柔不断な自分だよ…にしてもどうしよう…第二外国語はフランス語にしようかイタリア語にしようか…いやいやメジャーなドイツ語…)


まだこんなんである。時間割表は蛍光ペンのひき過ぎでチカチカしている。


「みーつ!!何してんの!?」
「ぐふうッ!!」


悩んでて後ろの気配に気付かなかった蜜は、突然の頭への衝撃に耐え切れず、女の子らしからぬうめき声を上げてしまった。


「グフ?ガンプラ?」
「うぬぅ…円ぁ…貴様ぁ…」


頭をさすりながら後ろをみるとそこには新聞紙を筒状にしたものを持っている幼馴染の男友達水木円がいた。


「蜜さぁ、そんなもんばっか作ってると彼氏できないよ。ガンプラ格好いいのわかるけどさ。」
「作ってねーよ!!ガンダム興味ねーよ!!グフってなんだよ!!ってか頭いてーよこのヤローッ!!」
「わあ恐い♪鬼みたい♪あはははは♪」
「殴っていい?」


この季節に病気をうつされたような男、水木円は顔は人並み以上に良く、背も人並み以上ある。整った顔立ちからにじみ出るどこか人懐っこさを感じられる愛嬌のせいか昔から人気があった。しかしこの性格ゆえに蜜との間では仲が良いのか悪いのか良く分からない間柄だった。ただこの二人には腐れ縁という言葉はある。幼稚園、小学校、中学校、高校、予備校、大学。全部同じなのだから…
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