短編小説■

□深海魚
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ねえ、どーしたらいいのかなあ







さきがみえないのは、だれのせいだ?







わかってるよ、けっきょくは自分のせいだろうね













先が見えないのはきっと




ぼくが にげたかったから




どうしたらいいのか 




かなしいくらい ぼくはなんにもわかんなかったから










さきがみえなくて怖くて、

めをずっとつむっていたら




いつのまにか もう何もみえなくなってた










目を開いても、そこはまっくらで

じきに、きっとくらやみになれて




もう、ずっと ずっと










「さき」をうしなうんだろう







『深海魚』













どんなにもがいても さきはみえないよ




にどと、にどと、










もうみえなくなって ひかりをうしなって







盲目の中 ただ泳ぎ続けるんだ

でぐちもいりぐちもわかんないまま

光を失って




深海のなかにうまってく













たすけて、とわめいた




ぬけだせないよ、となげいた




もぐっていったのは 自分なのに







ばかげたはなしだね




もうわかんないんだよ

それでも、




それでも







たすけてってないた










なにもみえない暗闇は

一体、どこまでつづくのだろう

あてのない旅に

おわりなんてないのなら




ぼくはいっそ




このままめをうしなってしまいたい




もうなにもみれなくていい

このまま闇にとけていけばいい







にどと ひかりは ささない













くるしめるだけなら

ひかりなんていらなかった

やさしさなんていらなかった







ぼくには まぶしすぎた













とじこまってく深海魚は


ただ、自らの愚かさを解った


みうごきひとつとれないまま


しずかに やみにさらわれた
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