GKの散文

□はじまらないさよなら
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御無沙汰しております。
ちゃんとお話する機会はこの先ないと思い手紙を書かせて頂きました。
お元気にしていますか?
俺たちはまだ持田さんの抜けた穴を埋めるのに必死です。
平泉さんとは連絡をとっているのでしょうか。
俺たちはやっと新しい監督に慣れてきました。
俺なんかが意見する事ではないと思いますが、どうしても伝えたい事があります。
勝手な推測ですが平泉さんは貴方の最後の舞台を用意することに執心していて、
そして心中する覚悟で監督をしていたと俺は思っていました。
貴方のすべてを死への衝動をも肯定して共に在ろうとしたと。
それは貴方が望んだ事なんですか?
それは間違いなく貴方の引退を、貴方の存在をこのサッカー史に刻んで、
何年何十年何百年たっても語り継がれると俺は思っています。
俺は死ぬまであの瞬間が目の裏でちらつく気がします。
貴方の死への、破壊への衝動はサッカーへの執着の反動だったのでしょうか。
サッカーを思うあまり飲み込まれてしまったのでしょうか。
今振り返るとそう思う事があります。
今、持田さんがどうしているかまったく想像が着きませんが、もし時間があったら城西さんに連絡をしてください。
普段は相変わらずいいキャプテンですが、ふとした瞬間にピッチの上で貴方を探しています。
俺の勝手な予想ですが城西さんは平泉さんと違って貴方の死を否定しませんでしたか?
貴方がどちらの手をとって、またはどちらもとらないでこの様になったかは俺には分かりません。
でもあの人は貴方と生きるつもりで今日も走っています。
きっと諦める事はないと思います。それは持田さん、貴方の方が知っているでしょう。
突然の手紙で、まとまりのない文ですいませんでした。

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