GKの散文

□学園東京V
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放課後、いつも通り授業が終わったら生徒会室へと足を向ける。
体育祭を控えた生徒会はいつにも増して仕事が多く、
生徒会長である城西はここ最近その業務に追われている。
もちろん他の生徒会メンバーもだし、一般生徒たちもだが。

「あーもう、ちょー腹減ったんだけどー!」

この後輩ははその例に漏れるんではないか。
「持田、扉はもう少し優しく開けれないのか・・・」
ガタンと大きな音と共に空腹を訴えた後輩は生徒会のスタッフの一員である持田。
「えーだってこの扉、建付け悪ぃんだもん」
持田は机の上に腰を下ろし足をぶらぶらさせている。
校則違反の短いスカートに明るい髪、奔放な態度。
「・・・そのネクタイは他校のだろう。うちの学園は他校のネクタイは着用禁止だぞ」
どうせまた他校の男から貰ったりしたのだろう。
注意してもいつも無駄で「シロさんにはかんけーないじゃん」で片付けられてしまうが
注意しないわけにはいかない性格の城西はため息をつきながら持田の首元を見た。
しかし今日は
「え〜シロさん平泉センセと同じ事いってるし。なに?二人できてんの?ウケるー!」
と持田はバタバタと足をあげ、机の上に寝転ぶようにして腹を抱えて笑っている。
「うるさいぞ持田ー!そんなんしてたらパンツみえっぞ!」
秋森が持田に絡み出したところで俺は騒がしい輪から抜けて書類に向き直った。


「平泉先生」

うちの学園の倫理の授業を担当している先生で教育指導の先生でもある。
品行方正なお嬢様学校として有名なこの学校に相応しい先生で
授業はもちろん指導力にも力があり保護者からの信頼も篤い。
見た目は・・・ロマンスグレーという言葉はこの人のためのものだろうな、と思わせる人。
その名前を持田に出されて、すぐに反論できなかったのは城西自身に非がある。
火照る頬を悟られないように顔を伏せ書類に集中する。
集中力が途切れるとあの日の事を思い出してしまう。
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