小説2

□トラウマ 2
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すれ違うやつらの目線が怖いから、ずいぶん早く学校に着いた。
だが、門を潜ることができない。
あと1歩なのに。
そんなとき、英二が来た。

「おーいし!来たんだね!何やってんの?入ろ!!」

英二は、俺が学校に入れないことを分かって早く学校に来てくれたんだろうな。
英二に手を引っ張られると、簡単に門を潜ることができた。

「大石の学ラン久しぶりだなぁ。あ、大石、今の席分かんないよね。俺、知ってるからさ、教えてやるよ」

今の席知ってるよ。
一番後ろの端っこだろ。
不登校の子の席だ。


「ああ、そういえば知らないや。ありがとう英二」




階段を上るのがツラい。体力が無くなったんじゃなくて、学校にいることを自覚させられるから。


「ここだよ、大石の席。あ、チャイムが鳴るまで一緒にいよーよ。今日は早く来すぎちゃったから誰もいないんだよね」


今の俺には英二が眩しすぎるよ。こんな俺を構っても何のメリットもないのに。
英二は喋り続ける。よく話題尽きないなぁと思うよ。
でも、その話の内容は入ってこない、俺の頭の中には。時間が経つのに比例して、人が増えていく。クラスのやつらは俺のことを見ている。


見ている。




俺は見られている。





俺は・・・
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