小説2

□英二と不二
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「不二不二!宿題見せて〜!」

「もう、仕方ないなぁ」




今ではこんなんだが、不二と出会ったばかりのころはこんなんでは済まなかった。


俺たちは1年のとき、同じクラスになった。

「へぇ、君もテニス部に入るんだ。俺も!あ、俺菊丸!皆には英二って呼ばれてるからさ、英二って呼んでよ!」

「これからよろしくね。僕のことは好きに呼んでくれたらいいよ」

俺の目では、不二の第一印象は「優しくてお人好し」だった。なんの根拠もなかったが、第一印象に任せて俺は勝手にそう信じこんでしまった。
いや、今では騙されたと言ってもいいくらいかもしれない。


1ヶ月経ったら、学校もテニス部もかなり慣れてきたつもりだった。
不二とも気が合う面があり、それなりに良い友達でいれそうと思っていた。
そんなある日のこと。
俺はうっかり宿題があることを忘れていた。
まだ入学したてのころだったから、今と比べれば俺は真面目で宿題を忘れてたことに焦った。


「ごめん、宿題写させてー!」

お願いしているように見えるが、俺から見れば不二に「写させてあげない」という選択肢は無かった。
不二は優しくてお人好しだから。
そう勝手に信じこんでいて手を差しのべている俺は次の不二の一言に呆気をとられた。


「やだよ。」
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