小説2
□トラウマ 3
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引退後、俺たちは定期的にテニス部に練習しに行っていた。あのときは、俺と手塚と不二と英二の4人で行った。
「先輩たち、暇なんすか」
他の後輩たちは笑顔で迎えてくれるが、越前リョーマ、こいつはそうはいかない。だが、生意気なこいつを煙たがるやつなんか一人もいない。越前は青学の希望の星だから。もちろん俺もそう思っている。
「クス、もっと素直に喜びなよ。今日は手塚と対決するんでしょ?」
「…そうっスね。ま、俺は負けないけど」
今日手塚も来たのは越前と対決する約束をしていたからだ。手塚は生徒会もあって忙しくなかなか部活に来れないでいたから、不二の言葉に越前も喜びを隠せないでいた。
試合は手塚の勝利だった。だが、手塚にしては苦戦していた。越前の成長のスピードは衰えるどころか、前よりも格段に上がっていた。
「…手塚部長、次はいつ来れます?」
越前は早速次の試合の約束をする。負けん気の強いやつだなと誰もが感心した。
「そうだな、明後日は用事がない。その日に来るとしよう」
「ほんとっすか!?」
予想外の約束の日の早さの嬉しさに、越前がまるで越前ではないかのように幼く見えた。越前の保護者かのように越前につられて俺も頬が緩む。
チャイムが鳴る。
引退した俺たちは先に着替えを済まして帰る。