「俺は、なんでお前みたいなかわいいやつと、もうつき合えないって思うんだろうな」
「…!」
まんまるから悲しい笑顔になって、アスマの指が俺の輪郭を辿る。
そうだよ。
なんでかわかんないよ。
でも、その顔と指が今日でお終いってのを分からせてくれた。もうそう理解するしかなかった。
心は酷く落ち着いていて、波紋ひとつなく穏やかになっていた。
ただひとつずきずきと滲み出してきた奥歯からの出血だけをのぞいて。
だから、輪郭をなぞる指に手を添えて、
「仕事頑張ってね」
と微笑むしかなかったんだ。
end
081216